サービスを提供するのは、LINEの暗号資産事業などを手掛ける「LVC」。ジェイアール東日本企画、スクウェア・エニックスを始め、Bリーグ(日本のプロバスケットボールリーグ)、機動警察パトレイバー、吉本興業など17コンテンツと提携済みで、100種類以上のNFTを販売するという。
LINE NFTの強みはなんと言っても約9000万人のユーザーにリーチ可能な点だ。これまで日本では「ITに強い人達による投資対象」という見方が強かったように思えるが、LINEを持つすべての人が購入できるため、そのハードルは一気に下がるだろう。
もちろん、マーケットプレイスとして、一次流通だけでなくユーザー間で取引を行う二次流通もカバーし促進させる狙い。ブロックチェーン基盤にはLINEが独自で開発した「LINE Blockchain」を活用し、自分の暗号資産などを管理するウォレットには「LINE BITMAX Wallet」を使用する。
決済では、独自の暗号資産「LINK」やLINE Payが利用可能だ。
さらに180カ国8言語に対応した、グローバル向けのプラットフォームも提供予定。今後はソフトバンクやZホールディングスなどグループ企業とも協業計画中であり、PayPayへの対応、ZOZO関連のNFT化も視野に入れている。
実は、2021年6月から試験的とも言える形で「NFTマーケットβ」がスタートしており、ウォレット数は100万個を突破している。私もユーザーのひとりとして手を伸ばしていた。そうした先行的な取り組みや今回の発表に耳を傾けていると、腹黒い私などは、「ソフトバンク経済圏」確立への次なる一手ではないかと考えたほど。
というのも、限定的なユーザーのみ参加が可能なブロックチェーン基盤を自前で用意し、グループ内で各種サービスを完結させる仕組みとなっているからだ。
Getty Images
この点について、林仁奎CEOに話を聞いた。
しかし私の考えは単なる勘ぐりにすぎなかった。ビットコインやイーサリアムのようなパブリックチェーン上でのマーケットプレイス展開も予定しつつ、まず当面は認知向上を狙うとした。
そのうえで、目指しているのは「ウェブ3.0の拡張」と断言。
「LINEは2018年から独自にブロックチェーンをスタートさせており、弊社もNFTの将来性に人生を駆けているようなメンバーばかりです。『世の中をどう変えて行くのか』という点にもフォーカスしていますが、まずはいまの提携企業やユーザーにプライオリティを置いています。すべてが整地された後、グループ会社について考えようと思います」
ソフトバンク経済圏の確立が主眼ではないとした。
著作権者に最大の利益をもたらす
また前日の22日には、スポーツ領域のスターのNFT商品を提供していく「META ALL-STRAS」設立の記者発表会が行われ、北海道日本ハム・ファイターズ新庄剛志監督のNFTが1000万円で売りに出された。
NFTは一般人からは手の届かない超高額で売買がなされている点を引き合いに、実はNFTそのものが「新たな錬金術」に過ぎないのではないかという、私の妄想についても水を向けてみると……。