発表に際し、宮田は「SmartHRの社長を退任します」と題したブログで、新たな組織体制や会社のカルチャーについて言及していた。
ここまで成長した組織はどのようにつくられたのか。その“カルチャー”とはなんなのか。年度が変わったこのタイミングにSmartHR流のチーム作りを探ってみたい。
前社長の宮田、新社長の芹澤雅人、COOの倉橋隆文とCFOの玉木諒の4者に話を聞いた。
SmartHRがサービスを提供し始めたのは2015年。宮田を含め社員3人の時代に芹澤が加入した。
エンジニアとしてウェブアプリの開発などに携わりながら、シード期のスタートアップで働くことを志願していた芹澤は、毎年観ていたピッチイベント「TechCrunch Tokyo」で優勝したSmartHRのプレゼンに魅せられ、その場で宮田に声をかけた。
「シード期のスタートアップは、半年先も存在するかどうかわからない企業が多いです。しかしSmartHRのメンバーは、労務領域に人生をかけているわけではなかった」
現CEOの芹澤雅人
「何かユニークなものを作ろうとしてたどり着いたプロダクトが労務ソフトで、そういうクリエイティブさに惹かれました。この人たちなら、この事業に失敗しても別の面白いことやれそうだなと」
ただ、芹澤を含めたメンバーの大半はプロダクト出身。ビジネス経験を持つ人材を経営陣に迎え入れるべく、2016年から採用活動を開始した。1年以上の時間をかけて迎えたのが、倉橋と玉木だ。
ARR1億円まではアート
倉橋は、マッキンゼー&カンパニーでクライアントの経営課題解決に従事し、楽天では社長室や海外子会社社長として事業成長を実現させてきた。
2017年7月にSmartHRに参画し2018年1月に現職に就任したが、転職に当たっては、スタートアップ8社から声がかかっていた。SmartHRを選んだ理由をこう話す。
COOの倉橋隆文
「事業領域としていた社会保険の手続きは、法人であればどこもやらなければいけない法的に義務付けられている業務です。この部分を効率化するプラットフォームを日本中に広げられたらビジネスとして大勝ちできると思いました」
監査や事業再生のコンサル業務、シード期のスタートアップ投資家などさまざまな業界を渡り歩いてきた玉木は、SmartHRの株主であるWiLからの紹介だったが、当初は第1希望でなかったという。