「従業員は、以前と同じ働き方に戻るつもりはない」と話すのは、求人求職サイト「キャリアビルダー」の最高マーケティング責任者(CMO)クリスティン・ケリーだ。「柔軟な働き方は、新しいノーマルであり、従業員が期待していることでもある。こうした動きは、今後も続いていくだろう」
こうした動きを裏づけるように、キャリアビルダーが実施した調査では、前月にリモートワークが可能な仕事に寄せられた求職者数は、オフィスに出勤しなければならない仕事の7倍だったことが明らかになった。
また、マンパワーグループ・ソリューションズが実施した調査では、「柔軟な勤務形態が整った職場」は、就職先を選ぶ際に検討すべき条件のトップ3に入ると回答した求職者が、世界全体でおよそ40%にのぼった。
柔軟な勤務形態が整っていると、優秀な人材が集まりやすくなるばかりか、従業員の生産性向上にもつながる。IT調査会社ガートナーが実施した「2021 Digital Worker Experience Survey(2021年デジタルワーカー・エクスペリエンス調査)」では、「柔軟な勤務形態が、生産性の向上実現に役立った」という回答が43%、「通勤時間がゼロになったか、短縮されたことで、生産性が向上した」という回答が30%だった。
それでは、柔軟な勤務形態を導入すると従業員の生産性が向上する理由をいくつか紹介しよう。
柔軟に働けると、労働時間が延びる
勤務形態が柔軟である場合は、生産性の高い時間帯の労働時間が延びる。求人コミュニティーサイト「エアータスカー」の調査では、リモート勤務の従業員は、オフィス勤務の従業員と比べて、1カ月あたり1.4日、1年あたり16.8日も多く働いたことが明らかになった。
しかも、その上乗せされた時間の生産性も向上していた。「邪魔が入って仕事を中断した時間」は、オフィス勤務の従業員の場合は勤務日1日あたり平均37分だったが、リモート勤務の従業員は、勤務日1日あたり平均27分にすぎなかったのだ。