しかし、その中身を細かく見ていくと、もうひとつの数字が隠されている。eコマース業界に注目している人を、同じくらい驚かせるものだ。
それは、2021年第4四半期に同社のオンライン売上が1%減となったことだ。アマゾンの2021年総売上の大幅増を後押ししたのはもっぱら、同社のクラウドコンピューティング事業で、巨大な収益源となっているアマゾンウェブサービス(AWS)だった。
公正を期すべく言っておきたいのだが、オンライン売上が1%減少したのは、前年同期と比べてのことだ。比較対象となった2020年第4四半期と言えば、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、実店舗が最大の打撃を被ったさなかのことだ。消費者たちはやむを得ず、オンラインで買い物をしていた。
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とはいえ、オンライン売上が減少したのはアマゾンだけではない。米国勢調査局が2022年2月に発表したところによると、小売業界の売上全体に占めるオンライン売上の割合は、2020年第4四半期は13.6%だったが、2021年第4四半期には12.9%に減少している。
パンデミックが2021年の年末頃には落ち着きつつあるという兆候が見えたことで、消費者たちは再び実店舗へと足を運ぶようになっている。これがオンライン売上減少の一因であるのは間違いない。しかし、それよりもオンライン売上減少を招いていると思われる別の要因がある。そして、eコマースで儲けようと考えている小売各社は、その要因にこそ目を向けたほうがいい。
つまり、ミレニアル世代やZ世代を中心とする若い消費者が、サステナビリティをめぐる諸問題にますます強い違和感を覚えるようになっているのだ。たとえば、商品を必要以上に包装したり、歯磨き粉などを24時間以内に配達しようとして多数の配達車両を使ったりするといったことを、彼らは疑問視している。
マーケティングサービス企業サイトコアは2021年、英国で消費者2000人を対象に調査を実施した。その結果、参加者の半数近くにあたる43%が「アマゾンでの買い物を減らしたい」と述べたほか、3分の1が「アマゾンで買い物をして罪悪感を覚えた」と答えた。
米国で実施された同種の調査でも似たような結果が出ており、特にそうした傾向が顕著だったのはZ世代の消費者だった。