だがあきらめるべからず。実は、オーダーの仕方によっては、戸建て住宅は2480万円が1680万円に、マンションのリノベーション費は3278万円が1890万円にもなることがあるという。
『建物の値段は頼み方で9割決まる - 劇的コストカットの「段取り力」と「魔法の言葉」』(ワニブックス)を上梓した建築アドバイザー掛川将氏は、「工事に関わるすべての人がフラットな関係」である発注体制を目指すコンストラクションマネージャーであり、「工事企画」代表取締役だ。
掛川氏に、新築工事やリノベーションの「施主」心得について以下、ご寄稿いただいた。
見積を取るにも「準備」が必須
さて、建築計画を始めるとなった場合、「工事の見積」を取る上で何を準備するだろう。あるいは、何を準備すればいいか知っているだろうか。
筆者が今まで携わった工事では、8割の施主が、見積を取るにあたっての準備が出来ていない。個人の素人ならまだしも、これまでにも幾つもの工事を依頼している、企業側の担当者であってもだ。
概算金額であっても精度の高い見積を出してもらうために、揃える必要がある図面がある。配置図、平面図、立面図、の3つだ。
とはいえ、これらの図面をどうやって揃えるのか? いったい誰に依頼すればよいのだろう?
──私が推奨するのは、「意匠設計(建築の外観や内部のデザイン)はかならず、施主と設計者と共同でまとめていく」ということだ。
配置図、平面図、立面図の依頼先は、設計事務所、あるいはボリュームチェック(その土地にどれくらいの建物を建てられるか)を専門とした会社であり、費用は無料、あるいは、3〜5万円が相場だ。
ただし、工事経験のある施主ならまだしも、初めて工事に携わる施主の場合、これらの図面をどう依頼したらいいかわからないはずだ。
そんな素人が注文する場合の、事前準備の方法がある。
施工会社が「やる気」になる依頼の方法がある
実は、依頼の方法によって、施工会社が「やる気」になるかどうかは大きく左右される。筆者の経験上、断言できるのは、関係者全員が「同じ方向を向いて協力し合う」環境を作ることができた場合に、もっともコストが下がる、ということだ。
そのために、まずは工事をやってくれる会社に対して、発注者として何が協力できるのか、何をしたら「施工会社にとってうれしい」のか、を知っておくことがとても重要なのだ。