この言葉の意味は、実際にビジネスを進めていく中でより深く理解することになりました。自分で事業を進めていくと苦しくて「逃げたい」と思う場面は必ず訪れます。起業家にとって大切なのは、逃げずに人の2倍、3倍の打ち手を用意し、状況を打開し続けられるかということ。スキルや才能の有無ではなくて、一点集中で情熱をその事業に注げるかどうか。この点は今回の参加者に対しても、見ていきたいですね。
ちなみに私自身はビジネスの世界に入る前に、音楽活動をしていたことがあります。そこで身につけた自分を客観的に見る力や、効果的にアピールする力は、起業後も非常に役に立ちました。人と違う結果が欲しければ、人と違う経験をすることが必要です。その意味でも「Nontitle~この1000万あなたらどう使う?~」での経験は参加者の大きな糧になると考えています。
YouTuberの影響力が、事業づくりのブースターに
──ヒカルさんと朝倉さんは、どのような事業家か。
トップYouTuberは概ね、チャンネルの再生回数を伸ばすことに一点集中した生活を送っています。「楽しそうな仕事だな」と思う人もいるかもしれませんが、裏では極めてストイックに研究し努力している。その結果、ヒカルさんは470万人、朝倉さんは220万人以上のチャンネル登録者数を抱えており、2人ともアパレルブランドなど他のビジネスでも成功しています。
しかも2人は、自分の影響力を単なるお金稼ぎではなく、世の中をよくすることや若者に夢を届けるために使いたいと考えている。何かを成し遂げたいという野心、私欲にとらわれない器の大きさ、そして周りを動かすカリスマ性が突出した存在だと認識しています。
──この「起業リアリティーショー」から本当の新規事業は生まれるか。
生まれる可能性はあると思います。なぜならこの番組で生まれたビジネスは、番組を通して延べ何百万人という人たちの目に触れるからです。
スタートアップが成功するためには、ビジネスモデルの正しさ以上に、自分たちのビジネスを世間に知ってもらうことがとても重要。そういう意味で「Nontitle~この1000万あなたらどう使う?~」という番組が、参加者が起業したビジネスにとって、ブースターのような役割を果たせるのは確かだと思います。
ただ、この仕組みをどこまで活かせるかは参加者次第。3カ月後にどんな起業家が誕生するのか、私自身も今から楽しみです。