ビジネス

2022.04.26

「起業リアリティーショー」で新規事業は生まれるか。キーマンが語る仕掛け

サムライパートナーズ プロモーション事業本部長 青木康時氏


また、この企画の背景には、視聴者ニーズの変化もあります。全世代においてテレビよりもYouTubeが長時間観られるようになった今、視聴者はよりハイクオリティなコンテンツをYouTubeに求めるようになりました。

当社は、そうした変化を受けてこれまでトークバラエティ番組「Win Win Wiiin」や料理番組「有頂天レストラン」など、地上波テレビのような規模の番組を制作してきました。しかしリアリティーショーをつくった経験はなかったので、今回挑戦することにしたという経緯です。

「起業のステップ」がミッションに


──「ミッション」の内容はどんなものか。

番組中に課せられるミッションの内容は、チームビルディングやコンセプトメイク、ビジネスプランニングなどを想定しており、コルク代表の佐渡島庸平氏や、メンター陣営と相談して決定しました。起業する上で乗り越えるべきポイントを「ミッション」として提示し、参加者は各段階をクリアしないと先に進めないルールになっています。

起業の際はともすると商品やサービスの詳細から進めようとしがちですが、最初にやるべき大切なことは、自分の事業の「使命」や「強み」を考えることだったりします。番組のミッションで示される起業のプロセスを順にクリアしたからといって現実世界の事業が必ずうまくいくわけではありませんが、失敗の可能性は減らせるのではないでしょうか。

番組が進むにつれて、チーム間におけるメンバーの配置換えや追加メンバーの発表といったさまざまな「仕掛け」もあるかもしれません。どれも、実際の企業でぶつかる壁や抱えがちな悩みを映し出し、チームでビジネスをすることの喜びや難しさを体験してもらうためのものです。

今回の参加者には起業経験者もいれば、ビジネス経験のほとんどないインフルエンサーやスポーツ選手もいます。バックグラウンドが異なる仲間同士が目的に向かってどう協力していくのか。自分より優れたスキルを持つ人が後からチームに加わったときにどう立ち回るか。これもまた起業のリアルです。

「Nontitle~この1000万あなたらどう使う?~」はリアリティーショーなので、やってみないとどんなことが起きるかはわからない。真面目なビジネスストーリーになるかもしれないし、思いがけずメンバー内で恋愛が生まれるかもしれない。その結果、想定外の展開になる可能性は大いにあると考えています。

──いち起業家として、「起業家が投資を受けるために必要な条件」についてどう考えているか。

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ビジネスモデルよりも大切なことがある、というのが私の考えです。

かつて自分のビジネスに投資をしてくれた方が、こんなことを言っていました。「シード期の事業なんて後でピボットする可能性が高いから、正直ビジネスモデルなんてどうでもいい。大切なのは、その人が追い詰められたときに逃げる人間か逃げない人間かだ」と。
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構成=一本麻衣 写真=帆足宗洋(AVGVST) 編集=松崎美和子

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