ビジネス

2022.04.05

社名変更で次のステージへ。独自製品でフードロスを解消

XEN GROUP代表取締役の高畑洋輔

香川県高松市の機械製造業であるタカハタは2022年1月、「XENGROUP(ゼン グループ)」に社名を変更した。代表取締役の高畑洋輔は、「会社を次のステージへ進めたい。いままでは下請けとしての一面が大きかったですが、これからは自社の製品やブランドを世の中に広めていく」と意気込んでいる。

同社は、大型の産業機械など、設計から加工、組み立て、据え付け、メンテナンスまでの工程を一気通貫で手がけているものづくり企業。近年はフードロスという社会課題に注目し、独自の食材乾燥機を開発・販売するなど、「MOTTAINAIエンジニアリング」として食の最適化をサポートする事業に注力している。

「いろんな技術を蓄積しながら新しい製品を生み出せています。日本だけでなく、海外も含めての事業拡大を考慮して新しい社名を決めました」と高畑は話す。21年には、生鮮品から加工食品まで幅広い食品の鮮度を保つ「食品熱交換装置X-Charge unit」を開発した。

食品の表面から中心まで温度を-0.1〜-1℃の範囲内で均一に整えて、水分をコントロールすることで品質の劣化を防ぐ装置。食品の外部から冷気をあてる従来の冷凍とは原理が異なり、特許を出願中だ。食品生産者や卸、加工業者を主要ターゲットに想定しており、「現在はいくつかのお客様と試験運用中。

添加物なしで長期保存ができる高品質な冷凍を可能にします」と高畑は期待する。XEN GROUPでは、これら自社製品・サービスを「XENBRAND」として展開していく方針だ。

新社名のXENには「最善」、GROUPには「社内外とのつながり」という意味を込めたが、実は社名変更には社内向けの狙いもある。同社は1963年に高畑の祖父が創業した典型的な同族経営の企業。あえて個人名の冠を外すことで、どんな社員でも活躍次第で役員などの要職につけることを暗に示したのだ。

「GROUP」と付けたのもそのためだ。現在は主に4つの事業を運営しているが、成長次第では、将来的にXEN GROUPの傘のもとで事業会社化させる構想を描いている。


たかはた・ようすけ◎XEN GROUP代表取締役。1979年、香川県生まれ。2002年、家業の高畑電機(現・XEN GROUP)入社。11年7月より現職。「Forbes JAPAN SMALL GIANTS AWARD 2021」関西・中国・四国ブロック大会セカンドローンチ賞受賞。

文=眞鍋 武 写真=林 孝典

この記事は 「Forbes JAPAN No.093 2022年月5号(2022/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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