アワードの投票者は、シェフ、メディア、フーディーがそれぞれ3分の1で、アジア全域で合計318人、日本からは53人。前回同様、投票者が1年半以内に訪れたレストランに投票できるが、昨年は居住国内から5店、国外2店(訪問した場合のみ)の計7店だったものが、今年は居住国内6店、国外2店の最大8店、国内に投票できる数も増えたことから、国内票が色濃く反映される結果となった。
授賞式に先立ち、「世界のベストレストラン50」公式大使の山田早輝子氏、日本評議委員長中村孝則氏をモデレーターに、サステナビリティとクリエイティビティをテーマに、アジアではコロナ禍以来初の「50ベストトーク」も開催され、より通常時に近いセレモニーとなった。
今回は、アジアNo.1にモダン日本料理の「傳」が選ばれたのをはじめ、日本から去年より2店多い、合計11店がランクイン。
これを受けて中村氏は、「海外から票が入らない中、全体的にランキングが上がったのは快挙。東京のみならず、大阪・和歌山・福岡・京都など、地元の人の支援を受けた店が多くランクインした。地方の店が増え、デスティネーション・レストランへの流れが一層強まったと感じている」コメント。
今回1位となった「傳」は、日本の家庭料理の温かさを伝える、イノベーティブな料理で知られる。過去4年に渡り、日本のレストランでは首位をキープ、アジアトップにまであと一歩だった長谷川在佑氏にとって、まさに悲願の1位獲得となった。
「傳」オーナーシェフ 長谷川在佑氏
ステージで両手を高く挙げて喜びを表現した長谷川氏は、「1位は取りに行こうと思って取れるものではなく、周りの支えがあってこそ。コロナ禍でも人が来てくれ、投票してくれたことに感謝したい」と語った。
また、傳はミシュランガイドでサステナブルな店に与えられる“グリーンスター”を獲得するなどその分野でもリードしているが、長谷川氏は独自のサステナブルの考えを持っている。
「自分は釣りやキノコ狩りも行い、自然から学ぶことも多いが、サステナブルな漁法の魚を使うにしても、生産者の方がやってくださっている部分も大きい。コロナ禍で、一人ひとりのお客様が過ごす時間の質をより一層考えるようになった。お客様が笑顔になる、楽しい時間を提供することを継続する『笑顔のサステナブル』が、リピーターを生み出し、店や業界のサステナブルにも繋がっていく」