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2022.03.31 06:00

暗号通貨のハブ目指す中東ドバイ、Crypto.comらが新オフィス設立

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暗号通貨取引所のBybitは3月28日、本社をシンガポールからドバイに移転すると発表した。ドバイは、暗号通貨とメタバースの中心地となることを目指しており、別の取引所のCrypto.comもドバイでオフィスを立ち上げると発表した。

Bybitは、ドバイでビジネスを行うためのライセンスを獲得済みで、新本社は早ければ4月に営業を開始する予定という。

Bybitの共同創業者でCEOのBen Zhouは、「ドバイに当社のグローバル本社を置くことを楽しみにしている。Bybitは、アラブ首長国連邦が暗号通貨テクノロジーの世界的ハブになるための試みを支援していく」と述べた。

一方、Crypto.comもドバイで存在感を発揮していくと述べた。香港で創業した後にシンガポールに本社を移した同社は、今後数カ月の間に大規模な採用活動を開始する予定という。

BybitとCrypto.comは世界的な取引所として知られている。2018年設立のBybitは、CoinGeckoのデータによると1日あたり100億ドル以上の暗号通貨のスポットとデリバティブ取引を処理し、2016年設立のCrypto.comも24時間で50億ドル以上のスポットとデリバティブ取引を処理している。

両社の動きは、ドバイ当局が3月上旬に暗号通貨のトレーディングやカストディサービスを承認する新法を導入したことを受けてのものだ。

この新法は、ドバイが属するアラブ首長国連邦が世界的な暗号通貨のハブになることを目指す動きの一環だ。世界最大の暗号通貨取引所のバイナンスは、3月中旬にドバイでライセンスを獲得したと発表した。さらに、若き起業家として注目のサム・バンクマン・フリードが率いる大手取引所のFTXもドバイで地域オフィスを開設すると発表した。

また、両社の動きの背景には、シンガポール政府が暗号通貨に対する規制を強化しつつあることが挙げられる。シンガポールは、2020年1月に暗号通貨企業に門戸を開いたが、その後は一般向けのプロモーションを規制した。

シンガポールの当局は、暗号通貨関連で170件の申請を受理したと発表したが、これまでに授与されたライセンスは10件以下という。Nikkei Asiaは、すでに100社以上が申請を却下されたと報じているが、その中には12月にシンガポールの関連会社が申請を取り下げたと発表したバイナンスも含まれている(情報開示:バイナンスは最近、米フォーブスへの戦略的投資を発表した)。

編集=上田 裕資

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