経済・社会

2022.03.30 06:00

ウクライナ侵攻で深刻化する世界の飢餓、世界各国はどう対応する

大規模農業の支持者たちは、膨大な生産量を維持し、増え続ける世界人口を賄っていくには化学肥料が不可欠だと主張する。しかし、化学肥料の使いすぎは水質汚染の最大の要因だ。メキシコ湾などに巨大なデッドゾーン(富栄養化に伴って生じる無酸素・貧酸素海域)をつくりだすほか、土壌劣化や土壌流失を招いている。これらの要素はいずれも、将来の食料供給を危険にさらすものだ。

サステナブルな農業を支持する人々は、今こそ耐性のあるシステムへの転換が必要だと訴えている。

肥料価格の上昇が始まってまもなく、米国農務省は、2億5000万ドル規模の基金を創出し、代替肥料や、米国での化学肥料生産を支援すると発表した。ロシアから大量に肥料を輸入してきたブラジル政府も、代替手段への投資をおこなっている。また、フランスのエマニュエル・マクロン大統領も3月はじめ、食糧インフラへの投資を支持する姿勢を示した。

英国に拠点をおき、赤十字に次ぐ世界第2の規模の人道支援ネットワークをもつNPO「CAFOD(カトリック海外開発機関)」で政策担当責任者を務めるグレアム・ゴードン(Graham Gordon)は、食料安全保障を、エネルギー安全保障に匹敵する重要課題と位置づけるべきだと主張する。

「サプライチェーンは、2年間にわたって機能停止に陥っていた。我々は食糧と食糧自給について、考え直すべき段階にある」と、ゴードンは述べた。

翻訳=的場知之/ガリレオ

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