ビジネス

2022.03.31 18:00

スタートアップの経営者が「従業員の家族」を意識すべき理由|​​Kaizen Platform 須藤憲司 #3

露原直人

​​Kaizen Platform 須藤憲司

「世界をKAIZENする」をミッションに掲げ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援するプラットフォームとサービスを展開するKaizen Platform。急拡大するDX市場を捉え2020年12月には東証マザーズへのIPOも果たした。そんな同社を牽引する代表取締役CEOの須藤憲司(すどう けんじ)氏に、起業家の素養や事業成長のポイントなどについて、DIMENSIONビジネスプロデューサーの中山航介が聞いた(全3話中3話)

第一話:勝敗は「3カ月」で決まる 水を止められるほどのピンチに実践したこと
第二話:事業の啓蒙はしない 新ビジネスを普及させるために口説くべき相手


応援される会社を目指せ


──2020年12月にIPOを果たされています。何か組織に変化はありましたか?

IPOすると経営判断のスピードが落ちるとネガティブにいう人も多いのですが、私自身は事業を強くする上で会社のガバナンス、開示スピードの強化は、会社を大きくスケールさせていくうえでは必須だと考えています。

ゆえに、IPOをするまでのプロセスは、組織を強くするプロセスです。弊社の場合、IPOを経て執行役員以上の役割が非常にクリアになってきましたし、ミドルマネジメント層が育ってくれたことによって私が短期の業績数字をあまり気にしなくても、彼らが短期と中期を考え、役員が中長期を考えていくという役割分担がしやすくなりました。その分、私はIRやエクイティストーリーなど、会社全体の方向性に集中することができています。

──IPOされてみてのメリット・デメリットは。

まだあまり時間が経っていないのでそこまで大きな自覚はありませんが、一番よかったと感じるのは従業員やその家族、昔から応援してくれてるお客様、投資家などのステークホルダーのみなさんが喜んでくれたこと。

2つ目に、上場したことでお問い合わせが増えたり、知っていただけたりするケースが増えたこと。特に我々は企業向けビジネスなので、上場しているかどうかで見られ方がかなり違います。

──ステークホルダーの中で「従業員の家族」とおっしゃられたのが印象的です。

ベンチャーの経営者だったら、絶対に意識すべきなのが「従業員の家族」です。従業員自身にとって最大のステークホルダーは家族やパートナーですよね。例えば私が初めてエンジニアを採用しようとした際に「奥さんが心配してる」と言って悩んでいたので、エンジニアと彼の奥さんと私の3人でランチをしたこともありました。他愛もない話をしただけだったのですが、その結果奥さんが入社を前向きに捉えてくれるようになりました。

結局、親ブロックとか嫁ブロックとか旦那ブロックとか世間では色々言われていますが、そういう意味で言うと、従業員の家族に応援されない会社は採用で勝てませんからやっぱり厳しいなと思っています。

これは従業員に限った話ではありませんが、やはりステークホルダーに応援される会社になることが、会社を成長させていく上で何より重要なことだと思います。
次ページ > DXの圧倒的No.1パートナーになる

文=中山航介 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事