ビジネス

2022.04.02

自社の「ごみ」は他社の資源。デンマークの工業都市で50年前から実践してきたこと

人口1万5000人の小さな工業都市、カルンボーの街並み


技術だけでなく「知識の共有」も



メンバー。一番右がTueさん

自然界では無駄なくすべての資源が循環していることが当たり前だが、人間がそれを企業の連携によって工業的に再現することはできるのだろうか。カルンボー市でも現時点ではすべての資源が循環しているわけではなく、これから活用を始める分野もあるとTueさんは言い、日本の地域でも僕たちがやっているような循環は可能だと思う、と付け足した。

「自治体と複数の民間企業で連携するのに、何か特別なアプリや共有ツールを使っているんじゃないか?と聞かれることがあるのですが、特に何もしていません。僕たちのコミュニケーションは、毎日の対話がすべてです。テクノロジーではなく、知識を惜しみなく共有しようと思う気持ちが大切なのではないでしょうか。」

カルンボー・シンバイオシスは、これから産業共生コミュニティを作りたい人や、自分の住んでいる地域で資源循環を実現したい人のためのガイド(英語)もウェブサイト上で公開している。ノルウェーやスウェーデン、ポーランドなどのプロジェクトパートナーへの取材から集められた調査結果に基づいて作成された、将来のファシリテーターのための情報源だ。

「僕にとってのウェルビーイングは、資源やエネルギー、もの全般をより少なく持とうとする地域に暮らしていること。雇用があって、快適な生活ができること。そして次世代について考えることができることです。

次世代のために、今何ができるのか。事業の長期的なインパクトを考える広い視野を持ち、新しいアイデアを受け入れる。それが地域循環の最初の一歩です。」

※1 WIN WIN Gothenburg Sustainability Award と SUSTAINABLE CITIES AND HUMAN SETTLEMENTS AWARDS
※2 大規模な露天掘りに伴う植生喪失が環境問題になるという指摘が存在する。
※3 2020年度 SDGs達成度ランキングでデンマークは2位


※この記事は、2021年9月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。
(上記の記事はハーチの「IDEAS FOR GOOD」に掲載された記事を転載したものです)

文=IDEAS FOR GOOD Editorial Team

ForbesBrandVoice

人気記事