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2022.03.29 18:00

勝敗は「3カ月」で決まる 水を止められるほどのピンチに実践したこと|​​Kaizen Platform 須藤憲司 #1

露原直人
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──「すぐやること」については、著書『ハック思考』の中でも“誰もが勇者になれる”と述べられているのが印象的です。何があれば人は“勇者になれる”のでしょうか?

私の場合は「好奇心」です。「この先には何があるんだろう」という好奇心が恐怖に勝ってる状態のことを人は「勇気」と呼ぶのではないでしょうか。さらに言うと、成功している状態とは「好奇心が続いている状態」だと考えています。

儲かるかどうかよりも、ワクワクし続けられているかどうか。これが経営者の目指すべき状態であり、素養で最も大切な「粘り強さ」にも繋がってくるのだと思います。

危機の時こそ即行動せよ




──須藤さんが経験された一番の危機と、それをどのように乗り越えられたのかお聞かせください。

成長投資をフルスピードでやってきたこともあり、資金調達は創業以来いつもギリギリの経営を行なってきましたね。資金調達の直前にウォーターサーバー代が払えず、会社の水を止められたこともあったりしました(笑)。

特に、最初に設立したアメリカ法人から日本法人を親会社とするインバージョン(組織再編)を実施したときには、売上がガクッと減るタイミングと重なってしまったこともあり資金繰りの危機に陥りました。

その危機を乗り越える起点となったアクションは、「会社がピンチです」「アイデアがある人は持って来て!」とメンバーにアナウンスしたこと。

そこからすごいアイデアがたくさんメンバーから上がって来て、それらをすぐ実行に移すことで「売上を伸ばす・コストを減らす・資金を集める」という3原則を実現することができました。

──会社の窮地をメンバーに伝えるのは勇気のいることだったのでは?

隠すという発想は無かったですね。危機を隠しても誰も得しませんので。そもそも毎年、伝統行事のように資金調達していましたから(笑)。弊社はそういった意味では危機に慣れた組織でした。結果的に業績悪化が原因で会社を辞めた人は一人もいませんでした。

振り返ってみてポイントだったことを一つ挙げるとすると、危機に気づいた瞬間に“他のメンバーにすぐに共有”したことです。私の経験則では、経営者が危機を感じるタイミングから、実際に業績数値に現れて従業員のストレスが高まってくるまでには3カ月くらいの遅延があります。

そして3カ月もあればベンチャーなら打ち手が色々と打てるはずです。その期間の猶予で結果を出すことができれば、メンバーが本当にストレスを感じる前に危機を脱することができるのです。行動が遅れれば遅れるほど選択肢が減っていくので、危機の時こそ「すぐやること」が重要だと思います。

※インタビュー記事は2021年4月19日現在の内容です


須藤 憲司(すどう けんじ)◎1980年生まれ。Kaizen Platform 代表取締役。2003年に早稲田大学を卒業後、リクルートに入社。同社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、リクルートマーケティングパートナーズ執行役員として活躍。13年にKaizen Platformを米国で創業。現在は日米2拠点で累計1000社以上の国内外のDX戦略の立案と実行を支援。

文=中山航介 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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