経済・社会

2022.03.29 06:00

米国でコロナ感染者数が下げ止まり、一部州で「BA.2」感染が拡大

Cryptographer / Shutterstock.com

減少傾向にあった米国の新型コロナウイルス感染者数が、横ばいになっている。すでに一部の州では、再び増加に転じたという。保健当局の関係者らは、流行の中心となっている変異株、オミクロン株の派生型「BA.2」への置き換わりが感染の再拡大を加速させる可能性があるとして、懸念を強めている。

米疾病対策センター(CDC)によると、3月25日までの7日間における1日あたりの新規感染者数は、平均2万7594人。3月18日に報告された人数とほぼ同数で、1月中旬から続いていた減少傾向が、停滞し始めたことが明確になったといえる。ただ、感染による入院者数と死者数は、全米で減少傾向が続いているという。

米紙ニューヨーク・タイムズがまとめたデータでは、過去2週間、首都ワシントンのほかケンタッキー州(106%増)、ニューヨーク州(56%増)などの9州、米領サモア、米領プエルトリコで新規感染者の増加が目立っている。

CDCによると、現在のところ国内の新規感染者に占める「BA.2」への感染の割合は、35%程度。米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに3月16日に掲載された研究結果によれば、「BA.2」はオミクロン株の初期の初期に大半を占めていた「BA.1」と比べ、免疫を回避する能力に大きな違いはないものの、感染力はより強くなっているとみられる。

世界保健機関(WHO)はすでに、この派生型が世界的に優勢となっていることを示すデータを公表している。感染者から採取したサンプルのシーケンシング(遺伝子情報の読み取り)を行った結果、99.8%がオミクロン株で、そのうち86%が「BA.2」だったという。

WHOによれば、1月中旬以降は減少傾向にあった世界全体の感染者数は、すでに再び増え始めている。3月14日までの7日間には、前週より9%近く多い感染者が確認され、週比での増加は2週連続となった。また、特に大幅な増加が目立つ欧州では、3月7日から14日までにハンガリーで57%、フランスで42%の増加が確認された。

米政府の主席医療顧問、国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は、BA.2の広がりと感染対策のために実施されていた行動規制の緩和により、「米国でも欧州と同様に、感染者が増加するだろう」と述べている。ただ、「急増することはない」との見方だ。

米国は資金不足に?


一方、ホワイトハウスのコロナウイルス対策調整官、ジェフ・ザイエンツによると、米国ではワクチンや検査、治療のために欠かせない医療物資を十分に確保するための資金が不足しつつある。

「連邦議会が行動を起こさない」ことにより、すでに感染者の治療に必要なモノクローナル抗体薬の各州への供給量を35%減らすことを余儀なくされているという。

編集=木内涼子

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