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2022.03.29 08:00

ラクスル松本恭攝がフィランソロピストとして発信する理由

ラクスル代表取締役社長CEO 松本恭攝

発売中の「Forbes JAPAN」2022年5月号の特集「これからの『お金の使い方』」では、コロナ禍をはじめ大きな社会的役割を果たしたビル&メリンダ・ゲイツ財団、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブをはじめとした、世界および日本の起業家たちが取り組みはじめている「新しいフィランソロピー」の動きを取り上げている。

慈善活動だけでなく、多様な資金提供と活動を駆使して社会的インパクトの実現を目指す「フィランソロピー3.0」と呼ばれている動きだ。この起業家、経営者たちによる新しいフィランソロピーの動きを通して「新しい社会のつくりかた」の進化を見ていく。

ラクスル代表取締役の松本恭攝は「世の中の仕組みを変える」プロジェクトをつくり、また、積極的に寄付もしている。フィランソロピストとして発信する理由とは。


スタートアップの社会的存在感が高まっていったように、フィランソロピーもまた、ムーブメントへと成長していく必要がある──。年間数千万円の個人資産を寄付に投じるラクスル代表取締役の松本恭攝は、そう考えている。

「世の中には格差から生じる社会問題や人権問題など、さまざまなイシューが存在します。しかし、ビジネスではアクセスできないものも多い。寄付をするのは、そのイシューに取り組む人たちの一部になりたいからです」

松本が行うフィランソロピーには2種類ある。ひとつは、自らプロジェクトを立ち上げ、率先して進めていくもの。2019年に一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブと連携し、VCのANRI代表の佐俣アンリとともに若手研究者を海外の シンクタンクに派遣する活動を始めた。

もうひとつは、社会活動を行う団体への寄付。支援しているのは「世の中の仕組みを変える」団体、もしくはそれを担う人材の育成に関与している団体だ。前者に該当するのが、同性婚の実現を目指す

「Marriage For All Japan ─ 結婚の自由をすべての人に」。裁判で判例を積み重ねることにより法改正に働きかけるアプローチは、これまで日本ではあまり機能してこなかった手法であり、法改正の新たな「仕組み」をつくる側面が松本の共感を呼んだ。

「寄付先を選ぶ基準は、ベンチャー投資とほぼ同じ。大切なのは、社会に大きなインパクトを残せるかどうか。活動が終わった後も、その影響がずっと残り続けていく取り組みをサポートしています」
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文=一本麻衣 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN No.093 2022年月5号(2022/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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