メンタルヘルス治療に幻覚剤やVRの併用、治療効果向上に期待

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マルケス博士は、事業の展望についてこう語る。「新たなクリニックの参加により、我々はロンドンの拠点から事業を拡大し、薬局でのサービスや新たな治療オプションを開始して、増え続ける患者たちに、重要かつ画期的な精神疾患治療を提供していくつもりだ。薬局でのサービスに加え、ロンドンのクリニックでは、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)やケタミン静脈注射といった精神医学治療をおこなう予定だ」

パシシア・セラピューティクスは最近、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)プラットフォーム企業であるグリンプス・グループ(Glimpse Group)との提携を発表した。この提携を通じてパシシアは、精神疾患患者向けのVR環境の共同開発をおこなう。これにより、メタバースでのメンタルヘルス治療と、実世界の安全な空間でおこなわれる、幻覚剤を補助的に利用した心理療法が融合する。

グリンプス傘下のフォアテル・リアリティ(Foretell Reality)が、VR技術を、メンタルヘルスの治療、患者支援、対人交流のさまざまな場面に導入する予定だ。VRはまた、心的外傷経験についての内省の促進や、精神的負荷の高い会話のシミュレーションにも利用できるだろう。

パシシア・セラピューティクスのCEOを務めるマルケス博士は、「特定の精神疾患症状に苦しむ患者にとって、VRは画期的な医療ツールになりつつあり、治療効果の改善がみられている。グリンプスとのプログラムの共同開発を楽しみにしている」と述べている。

パシシアの共同創業者であるローレンス・スタインマン(Lawrence Steinman)教授は、スタンフォード大学医学部神経学科の特別教授であり、複数のバイオテクノロジー企業の設立に携わり、数々の新薬の実用化に貢献してきた。

グリンプスのプレジデント兼CEOであるリロン・ベントヴィム(Lyron Bentovim)は、パシシアとの提携について、こう述べている。「VRテクノロジーは、ヘルスケア業界に広く導入されつつあり、その用途は、メンタルヘルス・精神疾患治療、疼痛管理、ロボット手術など幅広い。グリンプスは傘下の子会社を通じて、この分野で先駆的な企業、病院、大学と提携したソリューションの開発に直接の経験を積んできた。パシシアとのコラボレーションを楽しみにしている」

翻訳=的場知之ガリレオ

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