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2022.03.30

VC業界に減速の兆候、スタートアップの評価額が下落中

pics five / Shutterstock.com

パンデミックによるロックダウンが拡大し始めた昨年3月、一部のVC(ベンチャーキャピタル)は、市場が調整局面に入ることを懸念した。しかし、現実はその逆で、パンデミックは歴史的な株高を生み出した。地政学的危機と株価の急落に見舞われた今、VC業界からは、過熱した市場環境がようやく冷え込み始めたと指摘する声が聞こえる。

レイトステージのディールは、2021年に件数、投資額ともに過去最高を記録したが、そのペースは、この数週間で大幅に鈍化している。投資家たちは、2021年の過熱を牽引したクロスオーバー投資家が、過度にレイトステージに投資したことが要因だと指摘しており、2021年に最もホットだったディールの相場がバブルであったことを、業界全体が気づき始めているという。現状では、レイトステージで最も顕著な変化が見られるが、シリーズAラウンドにも影響が及び始めている。

B2B分野のシード投資に特化したVCのBowery Capitalのゼネラルパートナー、Loren Straubによると、業績重視に回帰する姿勢は、出資先企業の取締役会で顕著に表れているという。彼女が出席する取締役会では、資金調達よりも、財務指標の達成を優先させる動きが出始めている。

これらの企業では、昨年の段階で計画していた資金調達に遅れが出るかもしれないが、収益性を重視することは悪いことではないとStraubは指摘する。

「スタートアップにとっては、数字やデータで製品が市場に受け入れられていることや、自社への投資リスクが低いことを示すことがより重要になってきている」とStraubは話す。

彼女によると、シリーズAを調達しようとしている企業は、現在でも良い評価を得ることが可能だが、マルチプルは2021年に一般的だった70~80倍ではなく、10~20倍が相場になっているという。彼女が知っているスタートアップ3社は、事業が堅調に成長しているにもかかわらず、シリーズBラウンドでは前回ラウンドよりも低いマルチプルでの調達を目指している。

2月の調達額は1月から100億ドル減少


Crunchbaseの最新データでも、世界中でスタートアップ投資が減少していることが示されている。2月のスタートアップによる調達額は、1月に比べて100億ドル減少したが、これほどの落ち込みは過去数年で初めてのことだ。レイトステージの調達額は410億ドルから332億ドルへ19%減少し、影響がより少ないとされるアーリーステージでも184億ドルから153億ドルへ17%減少した。しかし、これらの数字は過去最高水準との比較であり、100億ドル減少しても、2022年2月の実績は、前年同月比で24%上回っている。
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編集=上田裕資

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