そして、渋滞した時にハンズオフ(手放し)走行を可能にする、最新の「アイサイトX」が装備される。
これによって道路状況や速度、つまりおよそ50km/hまでの速度域であれば、手放し運転ができる。ただし、当然ながらスバルは、これを「自動運転」とは呼んでいない。優秀な「アイサイトX」の運転支援システムには、カーナビの地図データやGPSなどによる自車位置測位情報も取り入れられており、既存のACCより多様な機能や、高い制御の精度を実現している。
十分な最低地上高があるため、アプローチやディパーチャーアングルが大きいのが特徴。そのおかげで、どんなに激しい凸凹の悪路でもほとんどの場合、楽に走れるということだ。スバルが得意とする4WDとも相まって、SUV顔負けのオフロード走破性を実現している。
海外ではエンジンは2.5リッター自然吸気が主力だけど、日本仕様は1.8リッターターボとCVTの組み合わせになっている。当然、ハイブリッドのグレードはないので、アシストモーターや回生ブレーキといった電動機構は搭載されていない。燃費はWLTCモードで13.0km/リッターとされているので、トヨタ・ハリアなどのライバルより若干下回る。177psと300Nmのトルクを発生する同1.8リッターは、車重1700kgを超えるアウトバックにとって、十分にパワフルといえよう。
正直なところ、速くもないし、遅くもない。でも、文句はないって感じ。特に、「SI ドライブ」というモードを選んでアクセルを踏めば、じわっとくるパンチがあるけど、落ち着いた加速性と言っていい。
スバル特有の「X-MODE」は、雪道や悪路に最適化された走行制御に切り替えられる機能。リミテッドでは単純なオン/オフのみ。対して、X-BREAKでは「スノー/ダート」、そしてタイヤが半分埋まった状況を想定した「ディープスノー/マッド」と、オフロード向けのモードが2つ用意される。もっとも、前者はリミテッドでのX-MODEオンに相当する状態、後者は大ざっぱにいうと、X-MODEを作動させつつトラクションコントロールも解除したものと考えていい。
今回の試乗車はスタッドレスタイヤを履いていたので、本来の乗り味よりも多少ゴツゴツしてはいたけど、その乗り心地は上等だ。接地感の豊かさもあって、余分な横の動きがしっかり抑制されているところがよかった。414万円からの価格設定で、このアウトドア指向のユーザーの触手を限りなくくすぐる新型アウトバックに、はっきり言ってライバルはいないと思う。
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