テクノロジー

2022.03.29 07:00

AIで「売れる服」が分かる? DROBEがファッション難民と業界を救う


山敷自身も、高校生のころはバイト代をすべて服つぎ込むほどのファッション好きだったが、大学で起業をしてからはオンオフ問わず365日をスーツで過ごしていたため、ファッションには自信がなくなっていたという。
advertisement



「スーツで過ごした時期を経て、ファッションをもう一度楽しめるようになると生活が変わりました。外見だけでなく気持ちも華やかになり、仕事やコミュニケーションにも自信持てるようになりました」

こうした考えから、2019年4月に起業。翌年3月からDROBEの提供をスタートした。
advertisement

納得して購入し、長く着れる仕組み


DROBEは女性向けのサブスクサービス。2週間〜3カ月に一度の頻度で、セレクトされた服や靴、アクセサリーなどの商品5~8点が自宅に届き、その中から気に入った商品を選んで購入する仕組み。購入しない商品は返送する。

取り扱いブランドはあえて非公開としているが、大手セレクトショップなど50社200ブランド以上(2022年3月時点)が参加している。スタイリング料金は一回あたり税込3190 円で、送料・返送料は無料。配送頻度や点数は選択することができるように設計した。

ユーザー数は、約10万人。ライフイベントや体型の変化によって「ファッションに関心はあるけれど、今は自信がない」という30代女性が中心で、都市部と地方の比率もほぼ同率だ。顧客が、自宅に送られてきた商品の中から1点以上購入する率は約8割と、高い数字を誇っている。

このサービスの肝になっているのが、独自の「スタイリング AI」。プロのスタイリストによる5万回以上の商品選定のデータをもとにしたシステムだ。顧客が登録したパーソナルデータ(嗜好や体型など約70項目)と、商品データ(サイズ・色・柄・素材など約1000項目)のデータを掛け合わせることで、顧客と洋服とのマッチ度を推定することができる。

DROBEでは、このデータをもとに100人以上のプロのスタイリストが顧客別にスタイリングを行っている。リピーターの場合は、過去の購入・返品などの行動履歴データも生かされるため、提案の精度が高くなるという。

こうしたAIとスタイリストとの“協働”も、重要なポイントだ。

「現状、AIだけでは100%満足いただけるご提案はできません。お客さま1人ひとりの体型やライフスタイルの悩みに合わせて服を選ぶスタイリストの方がいるからこそ、パーソナルに寄り添ったスタイリングを実現できています」
次ページ > 「売れる服」を予測し、消費されない服を減らす

文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨

タグ:

連載

リジェネラティブ・ファッション

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事