質問は、あえて「YES or NO」で回答できるものはなく、「どんなチームで活躍していますか?」「特筆すべきスキルは何ですか?」といった、回答内容の良し悪しの基準がない中立的なものに設定しているという。
「回答者がポジティブに書いたとしても、当該企業にとってそれがメリットになるかはわからないですし、逆に面接でアピールできなかったポジティブな側面が、リファレンスチェックで引き出されることもあります」(福村)
登録された回答は、自動的に選考中の企業に送付される。回答者には、選考中の企業名や選考プロセスのどの段階にいるかといった具体的な選考情報は回答者に一切開示されない。また、回答者が回答に応じたかどうかや、具体的にどんな回答をしたかについては、転職希望者は一切知ることができない。回答は自動的に選考中の企業に送付されるという。
現職の上司に回答を依頼しにくい場合は?
とはいえ、転職活動の段階で、現在の職場の上司に「リファレンスチェックに協力して欲しい」と依頼できるだろうか。新卒で就職した会社で勤め上げる、という従来の働き方から、会社を移り柔軟にキャリアをステップアップしていく働き方へシフトしているとはいえ、躊躇してしまう人も多いことだろう。
ただ、ASHIATOでは当初のリリースから約1年間で支援した約4000人のうち、8割が現職に在職中だったという。当人としては依頼しづらい直属の上司ではなく、前部署の上司や前職の上司からの回答でもOK、としている企業がほとんどだからだという。福村が解説する。
「同僚のみ、取引先のみというケースもありますので、上司の方に一切知られずにリファレンスチェックを行なえることもあります。逆に、採用を判断する企業側にしてみれば、そこまで譲歩しても回答が得られないのだとしたら、経歴や勤怠情報の詐称など何かしらの理由があると推測します」
どうしても現職場の人間にリファレンスチェックを依頼するのは気が引けるという場合は、選考中の企業に交渉することも可能だ。福村が続ける。
「企業によっては、現職場の人間には依頼できない理由を誠実に伝えることで、推薦者の属性を、取引先などに変更してもらうこともできます。企業にとっても、採用するかわからない候補者に対して、現在の職務へのネガティブな影響が伴うリファレンスチェックは望まないはずです」