自分は「信用」のある人材か。リファレンスチェックでどこまで分かる?

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自らの仕事のキャリアを形成していくうえで、最も重要なのが「信用」だろう。このところ転職活動においても、この「信用」がますます重要視されるようになってきている。

コロナ禍で人材市場が流動化し、企業にとっても優秀な中途人材を確保するまたとないチャンスとなっているが、同時に採用プロセスがオンライン選考にシフトした弊害で、信用調査が行き届かず、せっかく採用しても「早期離職」に至るケースも多くなっているという。

そこで脚光を浴びているのが、これまで外資系企業を中心に行われていた「リファレンスチェック」だ。

リファレンスチェックとは、採用を決める企業が、転職希望者の人柄や働きぶりについて、当人の上司や同僚などの「第三者」から回答を得て、判断材料にすることができるサービス。書類や面接など採用する側の主観的な判断だけでなく、第三者の客観的な情報を交えて当人の「信用」確かめることができる。

利用シーンとしては、最終面接前に行なって面接の精度向上に利用したり、評価が分かれた際の参考情報として取得したりするケースも多い。

企業が行なう場合は、転職希望者の同意を得て、転職エージェントや調査会社などに依頼することが多いが、代表的なサービスとしては、エン・ジャパンの「ASHIATO」やROXXの「backcheck」などがある。

外資系企業だけではなく、最近では日本を代表するナショナルカンパニーやメガベンチャーはもちろん、1人あたりの採用が会社の将来を決めるスタートアップ・中堅中小企業でも導入されるなど、業種や規模感を問わず活用されるようになっている。

回答の「依頼先」は決められる


では、実際にどんなプロセスで行われるのだろうか。エン・ジャパンのASHIATOでは、転職希望者本人が「誰にリファレンスチェックを依頼するか」を決められるが、「同僚」や「上司」といった依頼先の属性は、選考する企業によって指定される仕組みだ。ASHIATOの事業責任者を務める福村知久が次のように語る。

「多くのクライアントは、企業は上司と同僚を1人ずつ、計2人を指定するケースが多いです。管理職候補として選考が行われる場合には、部下を指定することもあります」

具体的には、選考する企業がリファレンスチェックを希望した場合、転職希望者のもとには回答する候補者の属性と人数の指定、そして回答用のURLが送られてくる。転職希望者は、回答に協力してくれる人を探して、回答用のURLを送付し、オンライン上で最大約15問の質問に回答してもらうという流れだ。回答率は85%以上で、平均して2日~4日で完了するという。
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文=岡田花子 構成=田中友梨

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