ウェブサイトを開き、数々のウィッグを製作し、ソーシャルメディアのオーガニックマーケティングとセレブリティの支持を駆使して、会社を成功させようと全力を尽くした。
創業当初は、問題が山積みだった。セレブのクライアントたちから、写真撮影やパフォーマンスなどのために、普通ではない長さ、色、質感を要求されることも多かった。
それでも、懸命の努力は実を結んだ。その後まもなく、シンガーのケラーニのために作ったウィッグをきっかけに、セレブのあいだでドミノ効果のようなものが生まれていった。
ほどなくして、カーダシアン家の面々、デミ・ロヴァート、『ル・ポールのドラァグ・レース』のドラァグ・クイーンたち、パリス・ヒルトンなどがクライアントに名を連ねるようになった。
「私が得た最大の教訓は、『口を開かなければ何も食べられない』だと思います」とスコットは言う。「何かが欲しいのなら、それを世界中に知らせて、手に入れないといけない。少なくとも、世に出ていかなければ、何も達成できません」
それをよく表しているのが、「コーチェラ・フェスティバル2019」でヘッドライナーを務めたアリアナ・グランデのためにつくったヘアピースだ。
パンデミックが世界を襲っても、スコットのビジネスは減速の兆しを見せなかった。ヘアスタイルのチュートリアルや、インスタグラムのアカウント(@WhatWigs)にアップする魅力的なヘアスタイルのポートレイトのおかげで、セレブに劣らぬ勢いで顧客が殺到した。
「これほど短期間にビジネスが成長するとは、まったく予想していませんでした」
今後5年間の計画としては、ホワットウィッグズの旗艦店をオープンさせ、髪の手入れやケアのための製品ラインを立ち上げたいと考えている。