スコットの会社ホワットウィッグズ(WhatWigs)は、創業から4年のうちに、アリアナ・グランデ、ニッキー・ミナージュ、ケイティ・ペリーなどのウィッグやヘアピースをつくるだけでなく、熱意あふれる結束したチームを生み出し、7桁(100万ドル超)の売上を叩き出した。
「私が育ったのは、ほとんど何もない、ごくごく小さな町でした。同世代の大多数と同じように、ユーチューブの動画を見て育ちました」。ヴァージニア州出身のスコットはそう語り、ハリウッドで引っぱりだこのウィッグ・スタイリストになるまでの軌跡を振り返った。
「小さいころから、ヘアピースに夢中でした。ウィッグの作り方の動画を何百本も見ました。そのあと、両親に地元の美容グッズ店へ連れていってもらい、店でいちばん安いヘアピースを買って、動画で見たことを真似しようとしたものです」
17歳になるころには技術を完全にマスターしていたが、故郷の山あいの町では、販売先やクライアントが限られるのはわかっていた。だから、カリフォルニア州サンディエゴへ移ろうと決めた。
「それほど楽なことではありませんでした」とスコットは認める。「何かで生計を立てないといけなかったので、小売店で働いていたのですが、散々でした」
当時のスコットは、友人が街へ出るときにつけるウィッグをよく作っていた。レースフロント・ウィッグ(前面にレース素材が使われているウィッグ)や、フルレース・ウィッグ(キャップ部分全体がレースでできているウィッグ)を使った、本物の髪の毛そっくりの、流れるように美しいヘアピースだ。
彼のヘアピースは、きまって通りすがりの人の目を集め、どうすればその完璧なロングヘアを自分も手に入れられるのかと尋ねられた。
3年後、スコットは思い切って仕事をやめ、ウィッグ製作の世界に飛び込んだ。そして、自分ひとりだけのウィッグ会社「ホワットウィッグズ」を立ち上げだ。