1960年代から70年代にかけて南ベトナム、カンボジア、ラオスの政権とともに現地の共産勢力と戦った米軍は、対反乱作戦の手際はロシア以上にまずかったと評価されている。世界でもっとも高い能力をもつ米軍ですら、東南アジアのゲリラに対応して制圧することはできず、1975年に敗退した。
歴史的に、対反乱作戦のやり方が巧みだったとされるのは英国だ。大英帝国の植民地だった国に関係したものだけでなく、北アイルランドでの紛争でもその手並みは比較的すぐれていたとみられている。
英国も大半のケースで武力に訴えているが、少なくとも1948年に当時のマラヤ連邦(現マレーシア)で起きた共産主義者の蜂起や、1969年から99年まで北アイルランドでアイルランド共和軍(IRA)が繰り広げた反政府活動では、戦闘手段と非軍事手段を組み合わせ、最終的により望ましい結果をもたらしている。
ランド研究所は武力行使のほか民衆の支持や政府改革なども考慮して過去59件の対反乱作戦の巧拙を評価し、点数化したランキングを発表している。一部を紹介しておこう(最高は15点、最低はマイナス11点)。
米国
・南ベトナム(1960〜75年):マイナス11点
・カンボジア(1967〜75年):マイナス7点
・ラオス(1959〜75年):マイナス5点
ロシア/ソ連
・チェチェン(1994〜96年):マイナス6点
・アフガニスタン(1978〜92年):マイナス3点
英国
・オマーン(1957〜59年):3点
・北アイルランド(1969〜99年):8点
・ギリシャ(1945〜49年):10点
・マラヤ連邦(1948〜55年):11点