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2022.03.27

連続起業家で科学者の久能祐子が語る「人生が豊かになるお金の使い方」

フェニクシー ファウンダー/S&R財団理事長兼CEO 久能祐子

発売中の「Forbes JAPAN」2022年5月号の特集「これからの『お金の使い方』」では、世界および日本の起業家たちが取り組みはじめている「新しいフィランソロピー」の動きを取り上げている。 慈善活動だけでなく、多様な資金提供と活動を駆使して社会的インパクトの実現を目指す「フィランソロピー3.0」と呼ばれている動きだ。このフィランソロピストの動きと、社会課題解決を行う非営利セクターの動きとともに、「新しい社会のつくりかた」の進化を見ていく。

米フォーブス「アメリカで自力で成功を収めた女性50人」(2015年)にも選出された、連続起業家で科学者の久能祐子が語る、「人生が豊かになるお金の使い方」とは。


米国ワシントンD.C.の北西部に位置するジョージタウン。歴史ある邸宅が並ぶ閑静な地区に、2011年、科学者で起業家の久能祐子は3,300万ドルでふたつの大邸宅を購入した。そのひとつ、れんが造りの豪邸、ハルシオンには現在、国籍、性別、肌の色を問わず、若い起業家たちが共に住み、社会にインパクトを与える事業を育て、羽ばたいている。

久能は40代で渡米、製薬会社「スキャンポ・ファーマシューティカルズ」を共同創業し、成功。2000年に芸術・科学・社会起業の分野で「志ある個人」を支援することを目的にS&R財団を設立した。その試験的試みであったハルシオン・インキュベーターは、ワシントンを中心とした投資家や慈善事業家、世界の若き挑戦者たちを引きつける場所として成功を収め、17年に公共財団としてスピンアウトさせた。

久能が次に目を向けたのは、若いころ自身を育て、支えてくれた京都だ。仲間と共にフェニクシーを共同創設。CEOの橋寺由紀子が中心となって、居住滞在型インキュベーター施設「toberu」を開設。若い社員が企業に在籍しながらも、同じ志をもつ仲間と切磋琢磨し、社会起業のアイデアを世に出すことができる「大企業発メガベンチャー」の育成を手がける。

フェニクシーを株式会社にしたのは、より自由度の高い動きが取れるためだ。インキュベーターが機動力をもって起業家と共にリスクが取れるか否か、それが成功の鍵だと語る。
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文=岩坪文子 写真=ステファン・ボス

この記事は 「Forbes JAPAN No.093 2022年月5号(2022/3/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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