米フォーブス「アメリカで自力で成功を収めた女性50人」(2015年)にも選出された、連続起業家で科学者の久能祐子が語る、「人生が豊かになるお金の使い方」とは。
米国ワシントンD.C.の北西部に位置するジョージタウン。歴史ある邸宅が並ぶ閑静な地区に、2011年、科学者で起業家の久能祐子は3,300万ドルでふたつの大邸宅を購入した。そのひとつ、れんが造りの豪邸、ハルシオンには現在、国籍、性別、肌の色を問わず、若い起業家たちが共に住み、社会にインパクトを与える事業を育て、羽ばたいている。
久能は40代で渡米、製薬会社「スキャンポ・ファーマシューティカルズ」を共同創業し、成功。2000年に芸術・科学・社会起業の分野で「志ある個人」を支援することを目的にS&R財団を設立した。その試験的試みであったハルシオン・インキュベーターは、ワシントンを中心とした投資家や慈善事業家、世界の若き挑戦者たちを引きつける場所として成功を収め、17年に公共財団としてスピンアウトさせた。
久能が次に目を向けたのは、若いころ自身を育て、支えてくれた京都だ。仲間と共にフェニクシーを共同創設。CEOの橋寺由紀子が中心となって、居住滞在型インキュベーター施設「toberu」を開設。若い社員が企業に在籍しながらも、同じ志をもつ仲間と切磋琢磨し、社会起業のアイデアを世に出すことができる「大企業発メガベンチャー」の育成を手がける。
フェニクシーを株式会社にしたのは、より自由度の高い動きが取れるためだ。インキュベーターが機動力をもって起業家と共にリスクが取れるか否か、それが成功の鍵だと語る。