ビジネス

2022.03.25

米グーグルで黒人への「組織的偏見」横行、元従業員が提訴

Photo by Olly Curtis/Future via Getty Images

米グーグルが「組織的な人種偏見」に基づいて黒人従業員を昇進や報酬面で差別しているとして、元従業員が今月、訴訟を起こしたことが明らかになった。

ロイター通信などによると、提訴したのはグーグルでダイバーシティー(多様性)採用の担当者だったエイプリル・カーリー。訴状では、グーグルの黒人従業員はカリフォルニア州マウンテンビューの本社キャンパスで警備員からたびたびIDの提示を求められたり質問を受けたりするなど、「敵対的な職場環境」に置かれていると主張。グーグルは「人種を理由に黒人を低い地位の職に振り向け、少ない賃金しか払わず、昇進の機会も与えていない」と訴えている。

また、グーグルでは黒人従業員の割合が4.4%にとどまり、幹部クラスや技術職では3%ほどしかいない点も指摘している。

カーリーは、黒人女性である自身が採用されたのも「マーケティング上の策略」だったことがわかったとし、入社後は上司から自身の仕事にけちをつけられるようになったと述べている。社内では「怒れる」黒人女性というステレオタイプにはめて扱われるようになり、昇進も見送られたという。

カーリーの主張によると、望ましい改革についての取り組みを同僚たちと始めたところ、2020年9月に会社を解雇された。

カーリー側の弁護士であるベン・クランプは「グーグルはダイバーシティーの増進をめざしているとうたっておきながら、実際は黒人従業員を低く評価し、十分な給料を支払わず、不当に扱っていた」と話している。クランプは過去に、警官の暴力で犠牲になった黒人男性ジョージ・フロイドの遺族の代理人も務めた。

訴訟ではグーグル側に対して、現在と過去の黒人従業員への補償的・懲罰的損害賠償や、彼らの適切な地位や年功の回復を求めている。

グーグルをめぐっては昨年、人種差別や性差別に関する苦情を申し立てた米国の従業員らに対して、会社側が医療休暇をとって精神衛生のカウンセリングを受けるよう勧めたと報じられた。カリフォルニア州当局はグーグルの親会社アルファベットでのハラスメントや差別をめぐって、勤務していた複数の黒人女性に話を聴いたとも伝えられている。

編集=江戸伸禎

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