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2022.03.25 07:30

希望を、インパクトを、未来へ届ける。起業家たちが挑む「新しい社会づくり」

(左から)笠原健治・山田進太郎・宮城治男

(左から)笠原健治・山田進太郎・宮城治男

発売中の「Forbes JAPAN」2022年5月号の特集「これからの『お金の使い方』」では、コロナ禍に大きな社会的役割を果たしたビル&メリンダ・ゲイツ財団、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブをはじめとした、世界および日本の起業家たちが取り組みはじめている「新しいフィランソロピー」の動きを取り上げる。
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慈善活動だけでなく、多様な資金提供と活動を駆使して社会的インパクトの実現を目指す「フィランソロピー3.0」と呼ばれている動きだ。このフィランソロピストの動き。そして、社会課題解決を革新的な手法で行う非営利セクターの動きを交えながら、「新しい社会のつくりかた」の進化を見ていく。

表紙のメルカリCEO・山田進太郎、ミクシィ取締役ファウンダー・笠原健治といった40代起業家と、2人のフィランソロピー活動を支援する、社会起業家支援のNPO法人ETIC創業者・宮城治男。彼らは、「新しいフィランソロピー」の潮流を日本で社会実装し始めている。


コロナ禍を前後し、日本を代表する起業家たちが私財と活動を駆使して、社会課題解決に向けて挑戦し始めている。個人資産10億円を原資に、2020年4月に子どもや家族を取り巻く社会課題解決を目指す「みてね基金」を立ち上げたミクシィ創業者の笠原健治。D&I(ダイバーシティ・アンド・インクルージョン)をテーマに、21年7月に「山田進太郎D&I財団」を設立したメルカリ代表取締役CEOの山田進太郎。みてね基金の運営やD&I財団の評議員を務めるNPO法人ETIC.の創業者、宮城治男。学生時代から関係性が深い3人が20年以上の時を経て再びつながり、目指す、フィランソロピーを軸にした「新しい社会のつくりかた」とは。
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笠原健治(以下、笠原):私はもともと、子どもや家族によりよい社会や仕組みをつくりたいと思い続けてきました。15年に始めた家族向けの写真・動画共有アプリ「みてね」の事業では、家族の絆を深めたり、子育ての孤独を解消したりする点で価値を提供できているという実感がありました。

でも世の中を見渡すと、親の別居・離婚後の子どもの養育支援、子どもたちのテクノロジー教育格差、LGBTの子どももありのままで過ごせる家庭や学校の必要性、家庭内暴力(DV)が行われている家庭の子どもが安心できる場所の不足など、子育てにまつわる課題がたくさん残されています。しかも、新型コロナウイルス感染症が世界中にまん延し、家族の幸せが奪われている人が大勢いる。事業の枠を超えて、困難な状況に置かれた人たちを支援するNPOなどを素早くサポートしたいと思ったのが、このタイミングで基金を始めた直接のきっかけでした。

みてね基金
ミクシィ創業者であり、家族向け写真・動画共有アプリ「みてね」の事業責任者でもある笠原健治が個人資産10億円を原資として2020年4月に立ち上げた活動。事務局の運営はETIC.のメンバーとミクシィの社員有志が行う。基金を通じて子どもやその家族を取り巻く社会課題の解決を目指し、主に難病・障がい、教育、貧困、出産・子育て、虐待の領域で活動する団体に資金の提供や活動の伴走支援を行う。第一期は20年4月に募集を開始し、新型コロナウイルス感染症の影響で緊急支援が必要な子どもや家族を支えるNPOなど53団体を助成先に選定。同年11月には第二期の募集を行い、革新的で優れた成果が期待できる取り組みを支援する「イノベーション助成」と、地域課題に地道に取り組む団体の成長を支援する「ステップアップ助成」の2部門で計20団体を採択した。海外でもアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアの15団体に計212.5万ドルの資金提供を実施。22年3月時点での助成金の総額は11億円を超える。
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文=瀬戸久美子 写真=ヤン・ブース スタイリング=堀口和貢 ヘアメイク=内藤あゆみ

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