ビジネス

2022.03.25 12:00

キーワードは「一如」「oneness」寄付で世界をとらえなおす

レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長、CIO 藤野英人(左)認定NPO法人D×P理事長 今井紀明(右)

レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長、CIO 藤野英人(左)認定NPO法人D×P理事長 今井紀明(右)

発売中の「Forbes JAPAN」2022年5月号の特集「これからの『お金の使い方』」では、コロナ禍をはじめ大きな社会的役割を果たしたビル&メリンダ・ゲイツ財団、チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブをはじめとした、世界および日本の起業家たちが取り組みはじめている「新しいフィランソロピー」の動きを取り上げている。

慈善活動だけでなく、多様な資金提供と活動を駆使して社会的インパクトの実現を目指す「フィランソロピー3.0」と呼ばれている動きだ。このフィランソロピストの動き。そして、社会課題解決を革新的な手法で行う非営利セクターの動きを交えながら、「新しい社会のつくりかた」の進化を見ていく。

同特集内の「私の好きな寄付先」をテーマにした記事を公開。レオス・キャピタルワークス会長兼社長の藤野英人と認定NPO法人D×P(ディーピー)理事長の今井紀明との対談で見えてきたこととは。


年末年始を乗り越えるための独自の現金給付8万円、最大3カ月、月1万円の「現金給付」「食糧支援」をLINEから申請して完結──認定NPO法人「D×P(ディーピー)」は、コロナ禍に政府の支援が届いていなかった若年世代へ向け、自前での困窮支援をいち早く進め、注目集めた。

2010年の創業から、大阪を拠点に生きづらさを抱えた全国の若者を支援。19年に開始したLINEを使ったオンライン相談「ユキサキチャット」では、不登校の10代などに就職や進学相談を行っていたが、コロナ禍で経済的な苦境を訴える声が急増。公的支援の情報が届いていない、対面の相談窓口に行くことをちゅうちょしていた困窮する若者へ、親しみのあるLINEを窓口に積極的に支援を届ける「アウトリーチ支援」を実施。47都道府県の相談者に対応し、21年度、現金給付は約2600万円、食糧支援は累計約4万1000食。公的支援の漏れに気づいたNPOの迅速な支援が、コロナ禍の若者世代にとってのセーフティネットとして機能した。

D×Pはサービスの受益者から対価をもらわず、寄付や助成金を中心に運営する「寄付型NPO」。このD×Pを寄付者として18年から支援するのがレオス・キャピタルワークス会長兼社長、最高投資責任者の藤野英人だ。出会いは18年の日経ソーシャルビジネスコンテスト。D×P理事長今井紀明は出場者、藤野は審査員であった。藤野個人の寄付から始まり、現在は会社を通した寄付でも支援する。

藤野英人(以下、藤野):私にとって「子どもと未来」は大きなテーマで、お金を重点的に投資・寄付して、時間を使う方針だ。なぜ子どもなのか。それは、これからの人生の時間が長い人に影響を与えることがもつ力は大きいから。多くの未来がある人が希望を失わずに、前向きになる変化を起こせれば、社会的インパクトは大きい、と投資家として考えている。今井さんとは審査員として偶然出会うという縁があり、若い世代の現状について納得できるお話をいただいたので、寄付をした。

今井紀明(以下、今井):藤野さんには、寄付をいただいていると同時に、参加していただいているという感覚がある。同じ船に乗ってもらって、同じ課題を解決する仲間として動いている気持ちが強い。
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文=フォーブスジャパン編集部 写真=平岩 享

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