ペロシ下院議長の夫、テスラ株220万ドル相当をオプションで購入

ナンシー・ペロシ下院議長(Kevin Dietsch/Getty Images)

民主党のナンシー・ペロシ下院議長は3月21日の開示資料で、金融業者の夫が先週、200万ドル以上のテスラ株を購入したことを明らかにした。米国では議員らの株取引に監視の目が向けられているが、今回のテスラ株の購入は、ペロシ夫妻にとって今年最大級の株式投資の1つと言える。

ペロシ議長は、夫のポール・ペロシが17日、25のコールオプション(特定の期間内に株式を購入するオプション)を行使し、2500株のテスラ株(約220万ドル相当)を購入したことを明らかにした。

議長は昨年12月に夫がテスラ株のオプションを購入したことを公表していたが、その際に夫妻はアップルやディズニー、アライアンス・バーンスタインへの投資も明かしていた。

テスラの株価は、市場の回復に後押しされて22日に8%上昇し、17日以降では約10%の値上がりとなっているが、11月につけた史上最高値を19%下回っている。

ペロシ夫妻がハイテク株のオプション取引を行うのは、今回が初めてではない。ポール・ペロシは、昨年6月にもアルファベット株のオプション取引で約500万ドルの利益を得ており、インサイダー取引疑惑が取り沙汰されていた。オプション取引では、トレーダーはオプション料を支払うことで、あらかじめ定められた期日までに対象会社の株式を特定の価格で購入する権利を取得でき、安い価格で多くの株式に対するエクスポージャーを持つことができる。

ペロシ議長の事務所は、この取引に関するフォーブスのコメント要請にまだ応じていない。

米国の議員は、議員の株取引を規制する法律の「Stop Trading on Congressional Knowledge Act」に基づき、45日以内に個人または配偶者、扶養家族が行った株式取引を開示しなければならない。

昨年は、連邦準備制度理事会(FRB)幹部による株取引が問題となり、辞任に至ったことから、議員の投資に対する監視の目が厳しくなっている。FRBはその後、職員の個人的な株式取引を禁止する規則を発表したが、議会がどのような措置を取るべきかまだ検討中だ。

ペロシ議長は当初、禁止令の考えを否定していたが、その後は方針を改め、2月に下院行政委員会に議員の個別株売買を禁止する法案の作成を指示していた。この法案は、年内に採決が行われる見通しだ。

高額な株取引を行う議員はペロシ議長だけではない。民主党のジョシュ・ゴットハイマー下院議員と共和党のジョン・ラザフォード下院議員らは先週、総額50万ドル以下の株式取引で、テスラ、ベライゾン、UPSなどを買い、Etsy、スナップ、フェイスブックを売却していたことを明らかにした。

2018年の分析によると、ペロシ議長の保有資産は推定1億1500万ドル(約140億円)で、最も裕福な米国議員10人のうちの1人とされていた。

編集=上田裕資

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