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2022.03.23 19:00

宇宙への思いから広がるダイバーシティ&インクルージョン【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#5】


多様性を認めること、受け入れて活用すること


せりか:「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉を最近よく耳にするようになりました。これは2021年にワープスペースが主催したカンファレンスイベント「WARP STATION Conference Vol.1」のコンセプトにもなっていましたね。

どういう意味なのか改めて教えていただけますか。

北原:ダイバーシティは多様性を認めること、インクルージョンは多様性を受け入れて活用することだと私は思っています。私は前職の金融機関では、女性の活躍を推進する委員会に立ち上げメンバーとして携わっていたことがあります。

ダイバーシティというと、視覚的にわかりやすい男女比に注目が向きがちです。しかしながら、性別だけではなく、年齢や生活環境、その人のバックグラウンド、宇宙業界出身なのかそうではないのかなどもダイバーシティの要素に含まれます。

また、多様性に富んだ人材をただ雇用すればいいというわけではありません。個性を発揮しながら活躍していただこうとするのがインクルージョンです。

せりか:なるほど。わかりやすいです! 身近なところでいうと、ワープスペースでのダイバーシティ&インクルージョンの達成度合いはいかがでしょうか。

北原:ダイバーシティも、インクルージョンも進んでいるのではないかと思いますよ。アルバイトの方も含めると10代から70代まで幅広い年齢層のメンバーがいて、最近では外国籍の方も増えています。筑波大学発のベンチャーですが、筑波大学の卒業生以外の方も多くいます。

せりか:では、宇宙業界全体で見ると、どうでしょうか。

北原:表面的なことしかわかりませんが、カンファレンスに行くと男性が目立ちますよね。ただ、せりかさんのように活躍している女性の宇宙飛行士や研究者は多くいらっしゃって、活躍の度合いにフォーカスして言えば、あまり差はないように思います。

多種多様な視点が最善の選択に繋がる


せりか:ダイバーシティ&インクルージョンが進むメリットは何だと思いますか。

北原:やはりダイバーシティ&インクルージョンの良いところは、色々な視点ができることで、多様な意見が集まり、より良い選択をできることでしょう。その結果、良い成果に結びつくステップが踏めるのではないかと思っています。


(c)小山宙哉/講談社

せりか:ダイバーシティ&インクルージョンがイノベーションに繋がるということですね。最後に、北原さんの展望を聞かせてください!

北原:ワープスペースの事業を実現することは、社会全体の持続可能性の推進や、地球規模の課題解決にもつながると考えています。宇宙産業への貢献だけでなく、人類社会の発展に貢献していきたいですね。先ほど、宇宙は未踏の領域だと言いましたが、我々がまさにやろうとしていることも、まだ前例がありません。

本当に色々な人の意見が大切で、他の産業以上に連携していかないと、成果は上げられないのかもしれないと思っています。せりかさんのように、嬉しくて仕方ないくらい大きな成果をあげられるように我々も頑張っていきたいです。

せりか宇宙飛行士との対談企画第五弾は、CFOの北原とのダイバーシティ&インクルージョンについての議論でした。多様性を認めること、そして多様性を受け入れて活用することがイノベーションに繋がることをご理解いただけたのではないでしょうか。

次回は、世界から注目を集める衛星企業の事業開発担当者を迎え、衛星ビジネスの社会貢献について考えます。

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