・インドでは、メンタルヘルスの重要性に対する認識が高まりつつあります。
・一方、メンタルヘルス関連分野では、深刻な人材不足が続いています。
・インド国民は、メンタルヘルスの治療に対し前向きな姿勢を示しており、これは世界的に見ても好ましい傾向です。
定性的分野は進展の度合いを把握することが困難ですが、特に、メンタルヘルスのような入り組んだ分野を扱う場合は、その複雑さが格段に大きくなります。しかし最近発表された第三者機関による2つのレポートでは、問題をより明確に理解するとともに、楽観的に捉える理由が示されています。
世界中で障がいの主な原因となっている精神疾患は、世界が一丸となって取り組まなければならない重要な課題の一つ。文化的に豊かかつ複雑な国家であるインドでは、この問題は圧倒されるほど大きな規模へと膨れ上がる可能性があります。
世界保健機関(WHO)が2012年から2030年の間に、精神疾患により世界で約1兆300億ドルの経済的損失が生じると予測する中、世界第2位の人口を抱えながらこの問題と闘うインドでは、患者10万人に対して精神科医はわずか0.75人と、深刻な人材不足が続いているのです。そのため、あらゆる介入手段を取ることが急務です。手遅れだと感じることもあるでしょうが、その手を止めてはならないのです。
リブラブラフ基金は、6年前の設立以来、メンタルヘルスに関するより深くよりオープンな議論をインド国内で全国的に促進してきました。2018年に実施された前回調査のフォローアップであるHow India Perceives Mental Health(インドにおけるメンタルヘルスの捉え方)は、メンタルヘルスに対する知識、姿勢、取り組みを評価することを目的として実施されました。
その調査結果により、希望を持ち行動を起こすための十分な根拠を得ることができました。例えば、メンタルヘルスへの介入に対する意識変化では、「精神疾患の治療を求める人を支援する」と回答した人は92%。2018年の54%から大幅に上昇したのです。
また、「精神疾患を抱える人でも仕事を持ち、安定した健康的な生活を送ることができる」と考える割合は65%と、2018年の32%の2倍以上となり、精神疾患患者に対する一般的な認識も劇的な変化を遂げていることも明らかになりました。さらに、68%が「精神疾患患者は友人、家族、仲間との有意義な関係を築くことができる」と回答していることも、精神医療分野における誤った情報が氾濫している国にとっては、心強い変化だと言えるでしょう。