既存のベンチャーラボインベストメントから追加投資を受け、新たに、三井物産、SBIインベストメント、東急不動産HD、九州電力送配電、西華産業も加わった。
さらに国土交通省のファンド「海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)」も、最高額の25億円を出資。JOINは2014年に設立され、これまでベトナム、インドネシアなどで都市開発や空港整備、高速鉄道の運営事業を手掛ける日本企業などへ投資をしてきたが、テラドローンのようなスタートアップへの出資は画期的だ。
スタートアップへ投資する道筋を
国土交通省のファンドであるJOINからの出資は、スタートアップ全体にとっても意義のあることになるかもしれない。テラドローンCEOの徳重徹は、次のように話す。
「投資の話を持ちかけられた時は懐疑的でした。いままでは大手の巨大インフラ事業者に投資してきたのに、スタートアップにお金を出すわけはないと思っていましたから。
通常、VC(ベンチャーキャピタル)であれば、投資に至るまでは4カ月ほどですが、JOINの場合は1年かかりました。大変だったのはJOINの担当者です。社内役員だけでなく、社外取締役の説得にも時間がかかった。
それでも熱量を持って私たちとコミュニケーションをとり、成長産業にかけてくれました。彼らとしては、スタートアップへ投資する道筋をつくりたかったんです。
重厚長大な産業だけではなく、新しい産業への投資も行っていくことで、JOINの価値を上げていきたいと考えていたのです。
『これで、今後、海外でインフラを手掛ける成長企業からも応募が集まる、その成功事例をつくるために良い案件でした』と言ってくれました」
今回、調達した資金については、測量や点検事業のグローバル展開に充てていく予定だが、特に会社の今後を左右する重要な案件として、テラドローンのグループ会社であるベルギーのUnifly(ユニフライ)への追加出資も挙げる。
管制システムのグローバル展開をめざす
ユニフライは、ドローンのUTM(無人航空機の運航管理システム)を手がけ、ドイツやカナダなど世界8カ国で入札を獲得し、すでに実用化されている。テラドローンは筆頭株主として出資してきたが、今回、追加資金を投じて出資比率を40%以上にし、今後51%を目指す計画だという。
テラドローン自身でもUTM事業を進めており、今年2月には、JAXA、三井物産などとともに大阪府で実証実験を行い、安全性を確認したところだ。今後はユニフライと共同で、より精度の高いシステムの開発を進め、グローバル展開を狙う。