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2022.03.25 06:00

ゲーム小売店ゲームストップ、赤字転落でも動じない理由

Getty Images

米ゲームソフト小売り大手のゲームストップが発表した最新の4四半期決算は、最終損益が1億4750万ドル(約176億円)の赤字となった。ウォール街にとっては予想外の赤字だったが、経営陣側は長期的な成長を重視する“ゲームプラン”見直しにともなうものだと説明している。

ゲームストップのマット・ファーロング最高経営責任者(CEO)は3月17日、2021年度第4四半期(21年11月〜22年1月)決算の発表会で、現経営陣は短期的な利益をめざすのではなく、長期的な視点に立った事業運営を行っているとあらためて強調した。

ゲームストップは昨年4月、米ネット通販会社チューイーの共同創業者でアクティビスト(物言う投資家)として知られるライアン・コーエンが会長に就任。コーエンが起用した新経営チームは同社をスタートアップのように扱い、当面は利益よりも売上高を重視している。

実際、21年度第4四半期の売上高は前年同期比約6%増の22億5000万ドル(約2680億円)と予想を上回り、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)前の2019年度第4四半期よりも増えた。半面、アナリスト予想で1株あたり80セント(約95円)あまりと見込まれていた利益はマイナス1.94ドル(約230円)に沈み、20年第4四半期の1.18ドルから大幅に悪化した。

ファーロングは、サプライチェーン(供給網)の問題や新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の流行によってホリデーシーズンの利益が損なわれたと説明した。「顧客の要求に応えるために、攻めの姿勢をとってコスト上昇分を吸収していくことを意識的に決断した」とも述べた。

ファーロングは「現時点では顧客向けの投資、ブランドロイヤルティーの再構築が当社の長期的な利益にもっともかなうと感じている」とも語った。NFT(非代替性トークン)のマーケットプレイスを今年第2四半期までに創設する計画なども明らかにした。

ウォール街には、ゲーム業界は今後ゲームストップのような小売店は不要になる方向に進むのではないかという見方もある。しかしコーエンらのチームは、ゲーム愛好者は仮想空間の「メタバース」でも熱狂的な消費者になる可能性があり、賢い小売店には必ず勝機があるとみている。

編集=江戸伸禎

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