しかし、ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は、3月16日のツイートで、ロシアがミサイルを誘導するためにDJI製品を使っていると述べた。ロシアは、DJIのドローン検出ツールのAeroScopeを用いて、ウクライナ国内のDJI製ドローンを30マイル(約48キロ)の距離から識別していると彼は指摘した。
フェドロフは、世界中のハイテク企業に対してロシアを孤立させるよう働きかけ、ほぼ成功を収めているが、中国企業からは満足な回答が得られていない。中国はロシアを支援しつつ、米国やその同盟国からの非難を抑えようとしている。
フェドロフ副首相はDJIのフランク・ワンCEOに宛てた書簡で、ウクライナで購入・登録されていないドローンを排除し、同国にあるすべてのDJIのドローンが、いつ、どこで起動されたかを含む情報を提供するよう要求した。
「ロシアがウクライナ人を殺すためにあなたの製品が使用されている。これを防いで欲しい」と副首相は、ワンCEOに呼びかけた。
これに対しDJIは、AeroScopeを含む同社の製品が軍事的な技術要件を満たしておらず、消費者向けの製品だと述べた。同社のドローンは、米国連邦航空局(FAA)の懸念を払拭するために開発された電子ナンバープレートシステムの「リモートID」機能を持つが、この機能が米国で実際に稼働するのは2023年9月以降のことだ。
しかし、DJIの技術が軍事用に設計されたものではないという話は理解できるが、説得力には欠ける。フォーブスは、AeroScopeを含む同社の技術が、米国で軍事用途で使用されていることを示す契約書を確認した。
DJIのAeroScopeは、Aerial Armorという業者を通じて米国税関・国境警備局(CBP)に利用され、米国の南部の国境での監視活動に使用されている。米国陸軍は2020年に同じ業者を通じて5万ドル相当のAeroScopeを発注し、2021年にも別の請負業者を通じて12万ドル相当を購入した。
これらの契約は、米国政府が中国政府への反感を高め、DJIに事実上の禁輸措置を発動したにもかかわらず、締結されていた。