電話会議の「Switch」ソフトバンクら3500万ドル出資 

2014年9月、UberConference expands to Canadaにて / Courtesy Switch Communications



Switch CommunicationsはGoogleの一部門ではないが、幹部らとGoogleとのつながりは深い。創業者たちはGoogle出身で、主力商品の「Switch」は、Google Appsを導入している企業向けの電話会議システムだ。初期の投資家にはGoogle Venturesが名を連ねる。

しかし、Switchをリリースして6ヶ月後、CEOのCraig Walkerは、次なる成長のステップとして、Google以外の企業との連携も深めていく考えを、フォーブス12月号(米国版)の特集記事の中で示している。

その実現に向けて、Switch Communicationsは、シリーズC資金調達を実施し、シリコンバレーの外部の投資家たちから3,500万ドルを調達した。このラウンドには、国際的な電話会社と繋がりの深いアジアの投資家や、ニューヨークの大手企業と繋がりのある企業ファンドが参加した。

主導したのはシンガポールのAmasiaで、ソフトバンクとWork-bench Venturesの他、Googleと繋がりの深いベンチャーキャピタルのFelicis Venturesも参加した。Felicis VenturesのパートナーであるWesley Chanは、かつてGoogleでWalkerと共に働き、Google Ventures時代にはSwitchへの投資も担当している。既存株主のAndreessen HorowitzとGoogle Venturesも今回のラウンドに参加した。
WalkerはSwitchの評価額を明らかにしていないが、フォーブスは前回2012年に資金調達を実施した際の約6,000万ドルから大幅に増え、2億ドル以上の評価がついたと推測している。

「Switchの成功は、販路の拡大に掛かっている。Googleだけに依存するよりも、我々の将来は広がる。」とWalkerは話す。これまでのところ、SwitchはGoogle Appsのパッケージとして売られている。Google は、Microsoft OfficeとMicrosoft Lyncに対抗するために、社員の電話を全てのデバイスで応対できるクラウドベースの電話会議システムであるSwitchを、Hangoutなど他のサービスと並んで、提供している。

Walkerにとって驚きだったのは、Switchが大企業から好評を博したことだった。大企業向けには、上司の事務業務を行うためのツールや、オフィスのロビーや会議室で使用可能なバージョンなど、中小企業とは異なる機能が求められる。例えば、記録された音声メッセージがサーバに保管される期間なども、大企業向けの営業では重要なポイントだ。この点は、Switchだけでなく、Slackのような他のスタートアップも解決しなければならない問題だ。こうした機能の開発は、Switchの100人近い社員にとって最重要課題となっている。

Switchは、今回調達した資金を海外展開の他、高収益が期待できる通信キャリアや電話会社との契約に充てる予定だ。契約候補には、新たに株主となったAmasiaと関係のある企業も含まれる。Walkerはシンガポールの投資家を選んだ理由について「米国市場に関心が薄いわけではない。Switchが以前から提供している電話会議サービス『UberConference』を愛用中のアジアの投資家たちからSwitchにアプローチがあり、彼らを通じてアジア市場にアクセスできる点に魅力を感じたからだ」と言う。
「アメリカの資本市場は、非常に活況だ」とWalkerは言う。

「今回のラウンドは、キャリアや電話会社と緊密な関係を築く貴重な機会だった」
Switchは、近くサンフランシスコ市内のより大きなオフィスに移転する予定で、サンノゼのオフィスも拡張したばかりだ。カスタマーサポートの拠点は、ノースカロライナに構えている。Walkerは、夏の終わり頃までには、新機能をリリースすると約束している。

文=アレックス・コンラッド(Forbes)/ 編集=上田裕資

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