さらに、去年のオールスターゲームでの先発投手の栄誉や、コミッショナー特別表彰を受賞するなどの多くの賞賛にもかかわらず、スキル面ではもっと改善の余地があると語り、もっと良くなる必要があると自分にも厳しいという。
メジャーリーガーのなかでもこれほど自らを謙遜する言葉が続く選手は珍しく、それもまた野球だけでなく、全米のプロスポーツのファンの耳目を集めている。
大谷選手のインタビューの後は、いつもジョー・マドン監督にマイクが向けられるが、ここでも多少大きな風呂敷を広げたマドン監督のコメントを拾うというのも、このところのアメリカでの大谷選手の記事の書き方の定番になっている。
また去年シーズン途中でケガにより離脱し、今季は長いブランクから復帰するマイク・トラウト外野手にもマイクが向けられたが、彼は「大谷選手と再びプレーできるのを楽しみにしている」と記者に忖度したコメントをしていたという。
大谷翔平選手とマイク・トラウト選手(Robert Beck/Getty Images)
日本人選手への期待が高まる
ところで、野球ファンが去年以上に大谷に期待を寄せるのには具体的な根拠がある。
それは、今季からナショナルリーグでも指名打者制が採用されることだ。アメリカンリーグに所属するエンジェルスだが、シーズン中には交流試合があり、ナショナルリーグのチームとも戦う。
その際に、大谷選手はシーズンを通じて投手もしくは指名打者として試合に参加できるので、大谷の打席数が去年よりも多くなることが容易に推測される。ここにファンは注目しているのだ。
さらに、MLBを代表するスーパースターであるチームメイトのマイク・トラウト選手が復活し、状態を上げてきているので、去年のように大谷選手がフォアボール攻めにあい、打席を無駄にすることが少なくなる。
昨シーズンで言えば、大谷選手は日本人選手としては過去最高の96四球を記録し、これはリーグの3位でもあったから、明らかにトラウト選手がいなかったために「大谷回避」がアメリカンリーグの常識となっていたことがあらためてわかる。
開幕投手についての具体的な言及はいまのところマドン監督からはないが、大谷選手はその栄誉ある役割に意欲を示しており、実現するとなれば、「ストライキ」のマイナスの影響を少しでも埋め合わせる期待の高なるシーズン開幕になるであろう。
折しも、広島カープから鈴木誠也外野手が日本人史上最高の入団契約金、約100億円でシカゴ・カブスに入団することが決まった。しかも鈴木選手は大谷選手と同じ年齢、2人を重ね合わせて語る記事も見かける。
カブスは、過去に上原浩治やダルビッシュ、藤川球児など多くの日本人選手がユニフォームを着た、ナショナルリーグ創設時からの名門チームで、鈴木選手の活躍にも大きな期待が集まる。
MLBがファンの心を傷つけ、シラけさせている一方で、救世主となる日本人選手への期待がこの国の野球を支えているという、これまでにない展開になってきた。
連載:ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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