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2022.03.21 08:30

戦火のウクライナの食料を担うサプライチェーン企業の苦闘


世界的な食料危機の懸念


MHPやウクライナの農家にとっては、これからの3週間が正念場だ。農家は十分な肥料を探すのに苦労しているが、同社は現地の農場で小麦やトウモロコシ、ヒマワリが育つ春の作付けシーズンに向けて、トラクター用の燃料や肥料を十分に備蓄しているという。

「現状で最も懸念されるのは、次の3週間で作付けができなくなることだ」とリッチは語る。

その影響は、世界の穀物市場に及ぶかもしれない。中東やアフリカの国々は世界2位の穀物輸出国であるウクライナに頼っているが、現地の港からの輸出は停止している。

小売価格が世界的に上昇し、極端なシナリオでは飢餓の発生も予想される。国連の世界食糧計画(WFP)は3月11日、ロシアのウクライナ侵攻から生じる混乱が「世界の食糧と飼料の価格を、すでに上昇している水準から8%から22%も押し上げる可能性がある」と警告した。

さらに、国連食糧農業機関(FAO)は、紛争による輸出の減少が長引けば、価格の上昇は貧しい国々を最も痛めつけると述べている。同機関が発表したシナリオでは、2023年までに栄養不足の人々が800万人から1300万人も増加し、特にアジア太平洋地域やサハラ砂漠以南を中心としたアフリカの多くの国が打撃を受けるという。

「我々は消耗戦に突入している。しかし、ウクライナの人々が国を愛する気持ちは、決して衰えたりしない」とリッチは語った。

編集=上田裕資

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