後悔についての考え方を改めるべき理由

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ダニエル・ピンクは過去20年以上にわたり、時代を捉え、一般通念に意義を唱えることでキャリアを形成してきた。

彼の初の著書『フリーエージェント社会の到来』は、新たなタイプの自由契約労働が成長することを予見し、約10年前に出版された『人を動かす、新たな3原則』では、営業部門で働く人に限らず誰もが何かを売る世界(売り物は自分自身であることがますます増えている)が予見された。

そのピンクは、出版されたばかりの『The Power of Regret(後悔が持つ力)』で、またもやその力を発揮している。

この書籍の副題である「How Looking Backward Moves us Forward(後ろを振り返ることで前に進むわけ)」が示すように、ピンクはこれまでよくないこと(ピンクは「幸福の血流の中の毒素」と呼んでいる)と思われていた要素に前向きな点を見出そうとしている。

彼は「後悔しない」ことを題名とした曲やタトゥー、自己啓発書の多さから、後悔が残念なことだと考えるのは直感的に当たり前のことだと認めながらも、いつものごとく、これが「全くの誤り」だと述べている。

「後悔は危険、あるいは異常なものではなく、幸せへと着実に歩む道のりを外れるものではない。後悔は健全かつ普遍的で、人間の欠かせない一部だ。後悔には価値もあり、物事を明確にし道を示してくれるものだ。後悔を正しく扱えば、落ち込むのではなく気分を向上させることができる」(ピンク)

ピンクは、人々が犬を飼い始めたりサワードウを極めたりしていたコロナ禍の初期に行われた自身の調査「American Regret Project(米国後悔プロジェクト)」と「World Regret Survey(世界後悔調査)」に対する数千件の回答に基づき、後悔のよくある分類(仕事、家族、健康、人間関係、金銭面など)が4つの主なグループへの分類を基盤としていることを発見した。

この4つは次の通りだ。

基礎に関する後悔

計画性や誠実さのなさにより生まれる後悔で、学校で十分努力しなかったことなどが含まれる。

大胆さに関する後悔

基礎に関する後悔の逆に当たるもので、可能性に賭けるよりも安全策を取ったことによる後悔。

道徳的な後悔

最も小さいが最も重大だと感じる人が大半。「正しいことをする」という考えを中心に展開していることが多い。

つながりに関する後悔

最も大きなカテゴリーで、壊れてしまった、あるいはきちんと構築されなかった人間関係に関するもの。配偶者や家族、友人、仕事の同僚などが当てはまる。
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翻訳・編集=出田静

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