急拡大するサイバー犯罪、小売業者が狙われる5つのポイント

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小売業界ではこの2年間で数多くの変化が起きたが、とりわけ大きかったのはオンライン販売へのシフトだ。この変化は、顧客基盤の拡大など、多くのプラス効果やビジネスチャンスをもたらした。だがその反面で、小売業者は、増加し続ける膨大な量の顧客データを抱えることにもなった。

そのため、当然のことながら、顧客、そして事業者自体のプライバシーとセキュリティの確保は、今日の小売業者が最優先で取り組むべき事柄へと格上げされている。

最新の詐欺の手口は?


自営業者として事業を経営していると、ほぼすべてのことに「エキスパート」になることを要求される。日々の業務に追われる、小規模で特定チェーンに属していない小売業者やブランドにとっては、「プライバシー強化技術(Privacy Enhancing Technologies:PETs)」は、あまりなじみのない領域かもしれない。それでも、詐欺を企てる犯罪者の手口が急速に巧妙化しているだけに、オンラインセキュリティの確保は、実店舗の警備と同様に、極めて重要だ。

小売業者を標的とした詐欺は、2020年から2021年にかけて50%増加した。また、ID関連詐欺の件数は、2021年上半期だけで11%増加したというデータもある。事業者には、顧客を守る責任が重くのしかかっているわけだが、そもそも小売業者が詐欺の被害にあった場合、何が起きるのだろうか?

オンラインショッピングの利用者が、本物の買い物客なのか、それとも、こちらを騙そうとしている詐欺師なのか、その違いを見極めるのは非常に難しい。さらに悪いことに、サイバー犯罪者たちは、小売業者や詐欺対策チームを出し抜くための計略を日々磨いているため、問題は常に変化し続けている。

詐欺対策を手がけるスタートアップのアイデンティック(Identiq)によると、際立って多い詐欺の手法としては、3つの手口が挙げられるという。1つ目は、「新規にユーザー登録すると特典がもらえる」という虚偽の内容のメールを送りつける販促詐欺。2つ目は、顧客を装って、小売業者に対して「商品が届いていない」とウソのクレームを入れる商品未着詐欺。そして3つ目は、返品時に本物の商品の代わりに偽物や空の箱を送る返品詐欺だ。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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