「梅毒」劇的に増加中、なぜ? 性病の話を専門医に聞いてみた

心療内科医・内科医・産業医内田さやか氏

性感染症が増えている。国立感染症研究所が発表した「年齢階級別性器ヘルペスウイルス感染症定点当たり報告数(15〜54歳、2009〜18年)」によると、女性では、実に「40〜44歳、50〜54歳を除くすべての年齢層」で、男性でも「20〜24歳、30〜34歳」の年齢層で増加しているのだ。

性感染症の感染がわかった時、男女問わず一人で不安を抱えてしまっていないだろうか。ソーシャルメディアで関連ワードを検索してみると、感染者による不安の声が数多くヒットするが、これも「誰にも言えない」悩みを匿名で吐き出していることのあらわれかもしれない。

性感染症は治療をしなければ、不妊の原因へと繋がってしまうリスクがある。最近ではYouTubeで専門家がそれぞれの症状について解説する動画を多数見かけるが、今回はまだまだ情報が少ないと考えられる「性病」について、心療内科医・内科医・産業医である内田さやか氏にあらゆる疑問をインタビューでぶつけてみた。

男女ともに、いまいちど性感染症にまつわる知識をアップデートしたい。

「とくに梅毒は2010年から劇的に増加」、原因は?


性感染症はかゆみや排尿痛など、症例別に症状が出ることもあるが、全体的に症状が出にくいことが特徴だ。自身の感染に気づけないことが、次々と感染者を増やす原因となっていると内田氏は話す。

「特に梅毒は2010年より劇的に増加しており、現在も増加の一途をたどっています。原因は『性行動の変化』にあると考えられます。具体的には、性行動開始の早期化や、同性間性行動の増加、性行動の活発化(手軽な性交渉、オーラルセックスの日常化など)です」

注意したいのは、ブログやSNSなどにある個人体験に基づいた情報だけを拠りどころにしないことだと内田氏は強調する。それでは、信頼できるリソースは何なのか。もし感染したかもしれないと感じたら、我々はどんなサイトを参考にし、どこで診てもらうべきなのか。

「参考にすべきは、厚労省研究班が監修している『女性の健康推進室ヘルスケアラボ』のWebサイトです。性感染症に限らず、生理痛、更年期障害、不妊、性暴力、セックスレスなど幅広い内容が扱われています。受診すべき医療機関は、性病科・泌尿器科・産婦人科・皮膚科が適切です。ちなみに、保健所も相談先の1つで、匿名・無料で性感染症の検査を実施しているところもあります。こちらも、覚えておくといいでしょう」。
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文=Ryoseon Bae 編集=石井節子

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