NFTがどのようなものかは、フォーブスはじめ様々なところで記事になっているのであえて書く必要はないだろう。ただ、NFTで購入するものは何なのかはおさえておきたい。
NFTは複製不可能な特徴のあるデジタルデータで、データの所有の権利を得るものである。つまり「ここにあるデータは私のものです」と主張できる権利を購入することにすぎず、実際のオリジナルデータの所在は動かない。ちなみに、早晩、オリジナルデータも含めてブロックチェーン(フルオンチェーン)になるだろうから、ますますデータのありかは問われなくなることが予想される。
それにNFTは、ブロックチェーン技術の特徴を利用して、転売のたびにその金額の一部がオリジナルのクリエイターやコレクションの運営者に入る仕組みで構築されることが多い。だから、NFTを購入しても、アートのすべてが自分の自由になるものではない。
NFTの購入の概念は、持っていること自体に満足を感じる、もしくは持っていることを他人に誇ることが喜びになるといった、今までのアート購入の概念とは全く異なるものなのようだ。では、NFTとは「何を買う」ものなのだろうか。これは後に語っていきたい。
さて、はやっち氏は、今年2月14日に4000点の作品を1分間で完売させ、OpenSeaで週間ランキング2位を獲得したコレクション、Love Addicted Girlsを運営している。
では、具体的にどのようにコレクションが生まれ、どのようにこの完売劇が起きたのか? Love Addicted Girlsの例をもとに、記してみよう。まさに様々なサービスを駆使したエコシステムが活用されている。
まず、コレクションのアカウントをTwitterに立ち上げ、コレクション販売の予告プロモーションを行う。こんなコレクションが出るよ、というティザー告知を行うのだ。Love Addicted Girlsの場合は、運営者であるはやっち氏が今まで培ってきた人脈で、世界中のつながりのあるNFTのコミュニティに働きかけた。
同時にDiscordを利用し、コレクション名のコミュニティを作って、クリエイターと、発売されるコレクションに興味がある人をあつめる。これらのコミュニティの多くはDAOとして運営されている。
Duiscordコミュニティの盛り上げに成功すると、コレクション発売前に十分に「期待」が盛り上がり、実際に作品をOpenSeaのプラットフォームで発売すると作品が売れるという構図である。Twitter、Discord、そしてOpenSeaの組み合わせで、Love Addicted Girlsの場合は、2分で4000作品を完売することにつながった。
はやっち氏に次はどんな新しいコレクションを出すのか伺ったところ、まずは、発売されたコレクションのコミュニティを盛り上げていくのだという。コレクションを守り育てる必要があるのだ。