近年では“ポイ活”という言葉があるほど、消費者にとってポイントは貯めることが当たり前で、お金と同様の感覚で扱う貴重なものになっている。「DOMO」では、そんなポイントをあえて“腐らせ、循環させていく”という仕組みを導入しているのだ。
当初は一部のユーザーからの反対意見や批判もあったというが、今は多くのユーザーに活用されているDOMO。その狙いを、春山慶彦代表に聞いた。
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「いいね」に別の価値を与えたい
YAMAPの主なサービスは、スマホのGPS機能を利用することで、電波の届かない山中でも現在位置を知ることができる機能。もう一つの軸になっているのが、アプリ内に過去の登山ルートや写真などを「活動日記」としてシェアすることができるコミュニティサービスだ。
登りたい山の最新情報を得られることもあり、ユーザーによるコンテンツの投稿数やそれに対するリアクション率も高くなっている。登山ファンが集まっているため、同様の情報を別のSNSプラットフォームへ投稿したときと比較しても、反応の良さは格段に高いという。
そのコミュニティ内で元々使われていたのが「いいね」機能。春山は、この「いいね」に別の価値を与えることができれば、ユーザーの熱量が高いYAMAPだからこそできる新しい価値やサービスをつくることができるのではないかと考えた。それが「DOMO(どうも)」である。
「SNSの“いいね”は、基本的にひとつの投稿に対して一回しか付けられません。閲覧履歴や儀礼的な意味合いが多くなってしまっていて、ほとんど“価値“を生み出すことはありません。そんな自己承認欲求のような小さな枠に収まっていることがもったいないと思っていました」
「DOMO」は使う前に貯めなければならず、それには「活動日記の作成」や「他の登山者の役に立つ情報を投稿する」など、アプリ内でのアクションが必要になる。
そして、貯めた「DOMO」は、2つの方法で使用できる。ひとつは、他のユーザーの活動日記などの投稿に贈る方法。その際、「10DOMO」「100DOMO」という風に、贈るDOMOの数は自分で設定できる。2つ目の方法は、登山道の整備や山の保全活動への支援に充てるという方法だ。
DOMOで支援した福島県南相馬市の森での植樹の様子