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2022.03.15

米ファイザー、ロシア事業の利益を全額ウクライナに寄付へ

Atmosphere1 / Shutterstock.com

ウクライナに侵攻したロシアの攻撃が続くなか、米製薬大手ファイザーはロシアでの事業を継続する方針を明らかにした。ただし、同国向けには今後、人道援助を目的とした医薬品の供給に限定。さらに、ロシア子会社が得た利益はすべて、ウクライナで行われている救援活動に寄付するという。

各国がロシアに科している制裁の対象には、医薬品は含まれていない。そのためファイザーは、ロシア事業を従来どおり継続することができる。だが、ロシアによるウクライナへの攻撃開始を受け、独自に医薬品の供給停止を検討。

医薬品の供給を停止すれば、ロシア国内の人々の苦しみや人命の喪失につながる可能性があることから、こうした決断に至ったという。

同社はこの決定について、「ロシア事業を通常どおりに継続することではない」としている。今後はロシアで新たに臨床試験を行うことはなく、すでに開始している臨床試験についても、ロシア国内で新たな参加者を募ることはないという。

また、ロシア国内に生産拠点を所有・運営していないファイザーは、現地サプライヤーの生産能力の引き上げに向けた投資を計画していたが、それらもすべて、中止する方針。

ファイザーは同日に発表した声明で、ウクライナが「いわれのない、不当な攻撃」から自国を守るために勇敢に戦うなか、同社が「ロシアから得る利益のすべてが、ウクライナとその人々を強くすることにつながることを保証するため」、今回の決断を下したと説明している。

ロシアは外国企業に「警告」


ロシアがウクライナに侵攻して以降、各国の企業は相次ぎ、撤退や投資規模の縮小、店舗閉鎖、発売の延期や製品の供給停止などを決定。ロシアと距離を置いている。

従来どおりにビジネスを続けようとする企業は、投資家たちや消費者、政治家からの反発を受けるおそれがある。そのため当初は事業を継続するとしていた英エネルギー大手シェルやカジュアル衣料チェーンのユニクロなども、一転してロシア事業の一時停止を発表した。

こうした各社の対応を受け、ロシア当局は、撤退する外国企業の資産を接収すると警告。また、ロシア政府を批判する外国企業のリーダーは逮捕すると脅している。

編集=木内涼子

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