経済・社会

2022.03.15 16:30

「女性は戦争をしない」 シェリル・サンドバーグの主張は正しいのか


近年の女性指導者でも、攻撃的だったり、軍事攻撃を主導したりした人物の例が複数ある。英国のマーガレット・サッチャー首相は1982年、男性の議員や側近らの反対にもかかわらず、フォークランド諸島を占領したアルゼンチンに対する軍事行動に踏み切った。

韓国で2013年〜17年に同国初の女性大統領を務めた朴槿恵は、「危険なまでに攻撃的」というレッテルを貼られた。朴政権は、北朝鮮がもし核攻撃を仕掛けたら、同国を「地球上から消し去る」と威嚇した。

2011年、米国のヒラリー・クリントン国務長官はバラク・オバマ大統領に対して、リビアでの軍事行動を促した。当初は外交による解決を模索していたものの、方針転換して軍事行動の利点を説いた。一方、ロバート・ゲーツ国防長官やトーマス・ドニロン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)ら男性高官は、軍事行動には反対していた。

実際のところ、軍事行動に踏み切るかどうかの決断は、指導者自身の人となりや国家、情勢によるものが大きく、指導者の性別はあまり関係がない。研究結果や歴史からは、女性首脳の国家同士が戦争を起こす可能性は十分あることが示されている。

シェリル・サンドバーグが国際女性デーに発したコメントは、女性リーダーを応援する意図があったのだろう。しかし皮肉なことに、女性リーダーはハト派だとか、男性より攻撃的でないという考え方があるがゆえ、女性首脳たちは軍事面で弱いという固定観念を払拭しようと、より攻撃的に振る舞わざるを得ないのかもしれない。

編集=遠藤宗生

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