こうした会社には一貫した世界観があり、それが企業の人格となっている。また、そういった会社はおしなべてファンが多い。
もちろん、展開している商品やサービスのファンだから、その会社のファンだというケースは往々にしてある。ただ、商品やサービスにファンがついていることと、会社に対してのファンがいることは、完全にイコールではない。その違いは「人格を感じるかどうか」なのではないか。
当然ながら、企業が世界観の軸をもつためには、事業の変数が多岐にわたる。だが、人格を感じ、それに共感できるかどうかでファンになっていくプロセス自体は、一個人のファンになるときと同じではないだろうか。
さまざまな価値観が言語化され、ものすごいスピードで飛び交っていくなかで、企業としてファンを獲得していくためにはどのような世界観をもち、人格を形成していくのか。今後はこうしたことが大きく問われていくと感じる。Dがなぜ、260万人ものファンを獲得できたのか。その背景から見えてくる世界観と人格という観点は、企業にとって、ビジョンやパーパスの次にくるテーマなのかもしれない。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。