政治家やテレビに出演する人たちの中には、新型コロナウイルスのパンデミックは「もう終わった」と主張していた人たちもいる。本当にそうであればうれしい話だが、このウイルスには、こうした人たちの言葉は届いていないとみられる。
欧州での感染者数の増加は、各国・地域が屋内の公共の場でのマスク着用義務など、感染拡大を防ぐために導入していた措置を緩和、または解除してからおよそ1カ月後に確認され始めた。懸念されるのは、行動規制の緩和が時期尚早だったのではないかということだ。
米国でも、疾病対策センター(CDC)が2021年5月にマスク着用に関するガイダンスを変更し、規則を緩めたおよそ1カ月後から、再び感染者が急増した。そして、11月に大規模な集会や旅行に関する規制を緩和し、パンデミック発生以前の状態に戻してから約1カ月後にも、同じように感染が再拡大した。
11月に入って以降の感染者の急増は、感染力が強い変異株のオミクロン株が、「予想外に出現しためだ」とする人たちもいた。だが、パンデミックが始まって以来、変異株は次々と現れてきた。このときまた新たな変異株が出現する可能性はないと考えることなどできただろうか? しかも、米国で再び感染者が増え始めたのは、南アフリカで初めてオミクロン株が確認されるよりも前だった。
それでも、そのオミクロン株による感染拡大の勢いが落ち着きを見せ始めると、政治指導者たちはまた、規制緩和策を打ち出した。これから起きるのは、どのようなことだろうか。「歴史から学ばないものは、それを繰り返す運命にある」のではないのだろうか?
覚えておかなければならないのは、感染者や入院者の数が増えていることが確認されるのは、それらが実際に増加し始めてから2~4週間後になると考えられることだ。