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2022.03.15 13:00

【3月第2週資金調達まとめ】電力卸売のエナジーグリッド、18億円調達

縄田 陽介

国内の成長産業及びスタートアップに関する幅広い情報を集約・整理し、検索可能にした情報プラットフォーム「STARTUP DB」では毎週、資金調達のサマリーを発表している。この記事では、3月2週目の“注目のトピック”として選ばれた5件の資金調達について紹介する。

エナジーグリッド


調達額:18億円
調達先:非公表
備考:プライベート・デットによる調達 / ファミリーオフィスや個人の資産家などを引受先とする

電力の小売り・卸売取引などを手がけるスタートアップ。

同社のサービスは、旧一般電力電気事業者や商社から電力をまとまったボリューム(10MW~50MW)で調達し、新電力会社に小分け(0.1MW~5MW程度)にして販売するビジネスモデルだ。電力の小売りは行わず、卸取引に特化している点が特徴である。

同社がポジションを取って先物取引やデリバティブ、オプション取引等の金融手法を用いることで、電力価格の大きな変動を抑え、新電力各社に電力の安定的な調達機会を提供している。

2022年3月には、ファミリーオフィスや個人の資産家などを引受先とするプライベート・デットにより、約18億円の資金調達を実施した。

この調達を通し、新電力会社が購入しやすいサイズに小分け販売することで、長期安定的な電力売買のマーケットを創出していく方針だ。

パトスロゴス


調達額:5億5000万円
調達先:非公表
備考:シードラウンド / 複数の起業家を引受先とする

AI型の外観検査システム「DEEPS」を提供するスタートアップ。

「DEEPS」は、外観検査の業務効率化を実現し、スマート工場を支えるAI外観検査ソフトだ。不良箇所や正常箇所をAIで学習させ、AIモデルを構築。カメラやPLCと連携することで、様々な検査装置での、高精度なAI外観検査が実現できる。さらに蓄積した検査データは傾向分析として活用ができるため、スマート工場化に貢献している。

2022年3月には、複数の起業家を引受先とする第三者割当増資等により、5億5000万円の調達が完了。

さらに、追加で4億円の引受契約が成立している。今回の資金調達により、同社の事業目標であるSaaSコアERPの開発を加速させること、ならびに優秀な人材の獲得に向けた積極的な採用活動に投資を行っていく方針だ。

トレジェムバイオファーマ


調達額:4億5000万円
調達先:京都大学イノベーションキャピタル / Astellas Venture Management / Gemseki / フューチャーベンチャーキャピタル / 京信ソーシャルキャピタル
備考:フューチャーベンチャーキャピタルは京都市スタートアップ支援2号ファンドを通して出資

永久歯が生えない“先天性無歯症”の治療薬を開発する、京都大学発のスタートアップ。

同社は、虫歯や歯周病で歯を失ってしまった患者さんに、注射することで自身の組織由来の歯が生えてくる治療薬があることを提案できるようになることを目指している。自身の歯で咬めることによる健康寿命の延伸を追求し、世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献している。

2022年3月、京都大学イノベーションキャピタル、Astellas Venture Management LLC、Gemseki、フューチャーベンチャーキャピタル、京信ソーシャルキャピタル、京都市スタートアップ支援2号ファンドを引受先とする第三者割当増資により、4億5000万円の資金調達を実施。

調達資金により、USAG-1中和抗体の非臨床安全性試験と治験用製剤の製造準備を進め、世界初の歯の再生治療薬の研究開発を一層加速させ、2023年度内の治験開始を目指していく方針だ。
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文=STARTUP DB

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