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2022.03.15 07:30

「がん」、次なるグローバルヘルスの危機を食い止めるには

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がんコミュニティが新型コロナウイルス感染拡大に素早く機動的に対応したことで、今後の急速な進展にも期待が高まっています。私たちは新たなパートナーシップや協力関係を構築し、がんによる早期死亡を減少させるため、医療システムを守るための共同作業を加速させました。
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私たちは、診断から治療に至るまで患者をサポートするために、分野を超えた専門知識を結集し、テクノロジーの進歩を活用してきました。AI(人工知能)は、この目標に向けてすでに、優れた能力を発揮しているツールの一つ。最近の研究では、AIが肺の異常増殖を最大93%検出することに成功していますが、これは患者の特定するための能力を大幅に高め、治療経路を合理化し、そして医療システムのリソースを最大限に活用できることを意味します。

同時に、私たちは医療システムの負担とコストを低減して能力を拡大させるため、デジタル化や在宅ケアといったソリューションを通じて、治療へのアクセス・治療の提供を行う方法の改善にも取り組んでいます。

今こそ、腫瘍学における最新の科学的進歩を活用するため、医療提供者、学術機関、産業界、グローバルヘルス機関が手を組んで患者のために協同するときです。医療システムの将来的な持続性とレジリエンスを確保するためには、早期発見が重要なのです。
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私たちは手を取り、以下のことを取り組んでいかなければなりません。

・肺がん死亡率を公衆衛生の優先事項として認識し、疾患の初期段階に対処するための協同一致。
・肺がんの予後改善を目的とした国家レベルの包括的な計画の中に、肺がん検診プログラムの発展を組み込むこと。
・測定可能な目標設定と、ケアパス全体の改善のための肺がんに特化した戦略と投資。
・対象を絞ったスクリーニング検査による早期発見
・偶発的肺結節プロトコールと迅速診断経路、完全に統合された分野横断的な治療経路の開拓
・肺がんにまつわる偏見の解消など

私たちは現在、がん治療の岐路に立っています。一方のルートは治療を最適化し、がんの診断を受けることの意味を変えるもので、他方のルートは現在経験している失敗を助長させるものです。早期発見と早期予測は、感染症とがんのどちらにおいてもその軽減のために極めて重要です。患者の長期生存率を高めるためには、がんの早期発見率を改善していかなければなりません。

こうすることで、一つの健康危機が、別の新たな健康危機を助長するのを防ぐことができるのです。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>

文=David Fredrickson,Executive Vice-President, Oncology Business Unit, AstraZeneca

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