AP通信は3月12日、ロシア人に人気の観光地であるタイで約6500人のロシア人観光客が、フライトのキャンセルにより立ち往生しており、その多くはビザやマスターカードがロシアでのサービスを停止したため、クレジットカードが機能しない状態に置かれていると伝えた。
インドネシアのジャカルタにあるロシア大使館はロイターの取材に、現地で立ち往生しているロシア人に対し「政府から直接支援がある」と述べた。さらに、ロシアのポクタ銀行(旧レト銀行)が中国のクレジットカード会社の「ユニオンペイ(銀聯)」を使ったバーチャルカードを提供していると付け加えた。
フォーチュンは12日の記事で、国際展開を目指す中国のユニオンペイが、制裁が強化される中でロシア国民のための決済手段として台頭し、欧米主導のシステムから脱出しようとするロシアを手助けしていると述べた。
一方で、ドミニカ共和国でも2日現在、1万5000人近くのロシア人観光客が立ち往生しており、同国は当面の間、宿泊施設を提供する予定だとAFPは伝えている。
さらに、ロシアのスキー客に人気のブルガリアでも1日現在で、数百人のロシア人が取り残されているとロイターは報じていた。
海外の主要航空会社がロシアへの運航を停止し、EUや米国などがロシアの航空会社に対して領空を閉鎖したため、海外の主要都市からロシアへの直行便はほとんどない状態だ。さらに、ロシアの航空会社は、海外の貸し手からジェット機の返還を求められている。
観光客は、中東経由のフライトなどでロシアに帰ることはまだ可能だが、現在の状況下で海外にいる全てのロシア人が帰国を希望しているわけではなさそうだ。